数分後、少し高級なマンションのエントランス前で車が止まる
「ここ」
彼がそう言う
見上げると、ガラス張りのエントランスと静かな照明
“本当に別世界”という言葉が浮かぶ
「行こうか」
彼が先に降りて、ドアを開けてくれる
濡れないように、少しだけ手で庇って
その仕草が、さっきよりずっと自然で
「紗凪ちゃん」
エントランスに入る直前、彼が呼ぶ
「はい?」
「怖くなったら、すぐ言って」
その一言だけは、ちゃんと約束みたいだった
エレベーターに乗ると、静けさが一気に濃くなる
上昇する数字と一緒に、胸の鼓動だけが速くなっていく
「……何階ですか?」
「最上階」
…さすが
扉が開く
そこは、ホテルみたいに整った静かなフロアだった
「こっち」
彼が歩き出す
鍵を開ける音がして、扉が開く
中は、思っていたよりずっと落ち着いた空間だった
無駄なものがなくて、でも冷たくない
「適当に座っていいよ」
そう言われて、ゆっくりソファに座る
「……すごいですね」
思わず出た言葉に、彼は少しだけ笑った
「仕事柄、外にいること多いからさ」
「そうなんですね……」
雨の音がここまで届いているのに、部屋の中は不思議なほど静かだった
「とりあえず、温かい飲み物出すね」
キッチンに立つ後ろ姿を見ながら、ようやく少しだけ呼吸が落ち着く
――来てしまった
でも、怖さだけじゃない
それ以上に、この人のことを“知りたい”って思ってしまっている自分がいる
カチャ、とカップの音がした
「はい」
差し出された温かい飲み物を受け取りながら、彼がふっと笑う
「ここまで来たら、もう逃げられないね」
冗談みたいに言ったその声が、やけに優しかった
「ここ」
彼がそう言う
見上げると、ガラス張りのエントランスと静かな照明
“本当に別世界”という言葉が浮かぶ
「行こうか」
彼が先に降りて、ドアを開けてくれる
濡れないように、少しだけ手で庇って
その仕草が、さっきよりずっと自然で
「紗凪ちゃん」
エントランスに入る直前、彼が呼ぶ
「はい?」
「怖くなったら、すぐ言って」
その一言だけは、ちゃんと約束みたいだった
エレベーターに乗ると、静けさが一気に濃くなる
上昇する数字と一緒に、胸の鼓動だけが速くなっていく
「……何階ですか?」
「最上階」
…さすが
扉が開く
そこは、ホテルみたいに整った静かなフロアだった
「こっち」
彼が歩き出す
鍵を開ける音がして、扉が開く
中は、思っていたよりずっと落ち着いた空間だった
無駄なものがなくて、でも冷たくない
「適当に座っていいよ」
そう言われて、ゆっくりソファに座る
「……すごいですね」
思わず出た言葉に、彼は少しだけ笑った
「仕事柄、外にいること多いからさ」
「そうなんですね……」
雨の音がここまで届いているのに、部屋の中は不思議なほど静かだった
「とりあえず、温かい飲み物出すね」
キッチンに立つ後ろ姿を見ながら、ようやく少しだけ呼吸が落ち着く
――来てしまった
でも、怖さだけじゃない
それ以上に、この人のことを“知りたい”って思ってしまっている自分がいる
カチャ、とカップの音がした
「はい」
差し出された温かい飲み物を受け取りながら、彼がふっと笑う
「ここまで来たら、もう逃げられないね」
冗談みたいに言ったその声が、やけに優しかった
