着替えを終えて更衣室を出ると、すでに着替え終わっていた佐野陽貴さんが前で待っていた。
ただそこに立っているだけなのに、周囲の空気が少し変わるくらい存在感がある。
圧倒的なスタイルの良さが、彼をより目立たせていた。
「一ノ瀬さん?大丈夫?」
その声で我に返る。
「っはい…お待たせしました」
「いこっか」
何気ないその一言が、やけに優しく聞こえた。
私たちは並んで歩き出す。
「奏はどう?迷惑かけてない?」
歩きながら彼がそう聞いてきた。
「迷惑だなんて全然です…。奏くんすごく勉強家で、本当にすごいと思います」
そう答えた瞬間、彼の足が止まった。
空気が少しだけ変わる。
「……奏くんって呼んでるの?」
低く落ち着いた声。
「はい…。奏くんにそう呼んでほしいって言われていて…」
言いながら、胸が少しざわつく。
あれ…なんで今、空気重いの…?
「じゃあさ」
彼が一歩近づく。
「僕のことは?」
息が近い距離で落ちる。
「え…?」
「僕のことは、なんて呼んでくれるの?」
真剣な目。冗談じゃない顔。
「陽貴“くん”って、呼んで」
有無を言わせない声だった。
「……っはい」
頷くしかできない。
なのに、なぜか心臓がうるさい。
「今ここで」
「え…?」
「呼んで?」
低く、甘く、逃げ道のない声。
いつもの優しさなのに、どこか意地悪で、ずるい。
壁際に追い込まれるみたいに、距離が近くなる。
ブラウンの瞳がまっすぐ私を見ている。
逃げられないのに、怖くはない。むしろ——変なほどドキドキする。
「……陽貴さん」
小さく言った瞬間、彼の眉が少し動いた。
「違う」
即答だった。
「“くん”でしょ?」
少し笑ってるのに、目は全然笑ってない。
そのくせ、優しい。
ずるいくらい優しい。
「……陽貴…くん」
やっと言えた瞬間、身体の熱が一気に上がる。
心臓がうるさすぎて、声が震えた。
「うん」
満足そうに、すごく優しく笑う。
「いい子」
その一言だけで、全部が崩れそうになる。
「これからはちゃんとそう呼んでね、紗凪ちゃん」
名前を呼ばれただけなのに、胸が跳ねる。
距離が近い。声が甘い。空気が熱い。
「さ、帰ろうか」
何事もなかったみたいに歩き出す彼。
でもさっきの数十秒だけ、時間が止まっていたみたいだった。
ドキ…ドキ…
……何これ
心臓が落ち着かないまま、私はただその背中を追いかけた。
ただそこに立っているだけなのに、周囲の空気が少し変わるくらい存在感がある。
圧倒的なスタイルの良さが、彼をより目立たせていた。
「一ノ瀬さん?大丈夫?」
その声で我に返る。
「っはい…お待たせしました」
「いこっか」
何気ないその一言が、やけに優しく聞こえた。
私たちは並んで歩き出す。
「奏はどう?迷惑かけてない?」
歩きながら彼がそう聞いてきた。
「迷惑だなんて全然です…。奏くんすごく勉強家で、本当にすごいと思います」
そう答えた瞬間、彼の足が止まった。
空気が少しだけ変わる。
「……奏くんって呼んでるの?」
低く落ち着いた声。
「はい…。奏くんにそう呼んでほしいって言われていて…」
言いながら、胸が少しざわつく。
あれ…なんで今、空気重いの…?
「じゃあさ」
彼が一歩近づく。
「僕のことは?」
息が近い距離で落ちる。
「え…?」
「僕のことは、なんて呼んでくれるの?」
真剣な目。冗談じゃない顔。
「陽貴“くん”って、呼んで」
有無を言わせない声だった。
「……っはい」
頷くしかできない。
なのに、なぜか心臓がうるさい。
「今ここで」
「え…?」
「呼んで?」
低く、甘く、逃げ道のない声。
いつもの優しさなのに、どこか意地悪で、ずるい。
壁際に追い込まれるみたいに、距離が近くなる。
ブラウンの瞳がまっすぐ私を見ている。
逃げられないのに、怖くはない。むしろ——変なほどドキドキする。
「……陽貴さん」
小さく言った瞬間、彼の眉が少し動いた。
「違う」
即答だった。
「“くん”でしょ?」
少し笑ってるのに、目は全然笑ってない。
そのくせ、優しい。
ずるいくらい優しい。
「……陽貴…くん」
やっと言えた瞬間、身体の熱が一気に上がる。
心臓がうるさすぎて、声が震えた。
「うん」
満足そうに、すごく優しく笑う。
「いい子」
その一言だけで、全部が崩れそうになる。
「これからはちゃんとそう呼んでね、紗凪ちゃん」
名前を呼ばれただけなのに、胸が跳ねる。
距離が近い。声が甘い。空気が熱い。
「さ、帰ろうか」
何事もなかったみたいに歩き出す彼。
でもさっきの数十秒だけ、時間が止まっていたみたいだった。
ドキ…ドキ…
……何これ
心臓が落ち着かないまま、私はただその背中を追いかけた。
