トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「最終日にこんなことになっちゃって……ごめんなさい」

更衣室へ向かう途中、私はぽつりとそう言った。

今日で最後なのに——

こんな形で巻き込んでしまったことが、どうしても申し訳なくて。

「僕が心配で送っていきたいだけだから、
一ノ瀬さんが謝ることなんて何もないよ」

優しい声で、迷いなくそう言ってくれる。

その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。

廊下を歩く間も——

彼はさりげなく、私を壁側に歩かせてくれていた。

人とすれ違う時も、自然と私をかばうような立ち位置になる。

あまりにも自然で、最初は気づかなかったくらいだ。

……本当に、優しい人だ。

そう思った瞬間、胸の奥がじんわり温かくなる。

さっきまであった怖さも、少しずつ薄れていった。

気づけば、自然と笑顔がこぼれていた。

「……ドラマ、見ますね」

そう言うと、彼は一瞬きょとんとした顔をして——

すぐに、ふっと柔らかく笑った。

「それは……絶対いい作品にしないとな」

少し照れたようなその表情に、また胸が高鳴る。

「楽しみにしてます」

そう返すと、彼は小さく「うん」と頷いた。

そんな何気ない会話を交わしながら、

私たちはゆっくりと更衣室へ向かった。