今日でシャドーイング5日目、ついに最終日。
午前の業務を終え、お昼ご飯を買いにコンビニへ向かう途中だった。
「おね〜さん」
階段を降りていると、20代前半くらいの男に突然声をかけられた。
金髪にピアスがいくつも開いている。
正直、あまり関わりたくないタイプだ。
「どうしました?」
警戒しながらも、仕事として声を返す。
「検査室行きたいんだけどさぁ、場所わかんねぇんだよね。
案内してくんない?」
上から下まで舐めるような視線に、ゾクッと背筋が震えた。
どうしよう……断りたい。
でも患者さんかもしれない。
無下にするわけにもいかない。
「ねぇ、はーやーく。
俺、足怪我してるからさぁ。支えてくれる?」
そう言って、いきなり肩に手を回される。
「ちょっ……」
思わず離れようとすると——
「だーめ」
ぐっと腕を掴まれた。
力が強い。
「医療従事者が患者ほっとくとか、ありえなくね?
そんなことされたらさ、苦情入れちゃうかもー。
ねぇ、一ノ瀬さん?」
名札を見て、ニヤリと笑う。
怖い……。
「……わかりました」
小さく頷くしかなかった。
「やった♪」
嬉しそうに笑う顔が、逆に気持ち悪い。
早く終わらせよう。
それだけを考えて歩き出す。
「おねぇさんってさ、細いのに結構あるよね?」
肩に回された手が、ゆっくりと下に滑っていく。
ゾクッ——
全身に鳥肌が立つ。
「やめてください」
震えそうになる声を必死に抑えて言った。
「あはは、怒っちゃった?
でもさ、ぶっちゃけFくらいあるでしょ?」
視線が胸元に向けられる。
吐き気が込み上げた。
「このまま真っ直ぐ行けば検査室です。
ここからはお一人でお願いします」
そう言って腕を振り解こうとした瞬間——
ガッ
強く肩を掴まれる。
……こわい。
「なんで逃げようとすんの?
最後まで案内するのがお仕事でしょ?」
顔が近い。
息がかかる距離。
「それともさ——」
耳元で囁かれる。
「病室戻って、イイコトしてくれる?」
ぞわっと背筋が凍る。
強引に手を引かれ、非常口の方へ連れて行かれる。
痛い……っ
「やめて……っ」
声がうまく出ない。
怖い。
助けて——
そう思った、その瞬間。
「なにしてんの?」
低く、冷たい声が響いた。
ハッと顔を上げる。
涙で視界が滲んでいる。
それでも、その人の存在だけははっきり分かった。
「あ〜?何お兄さん。
今いいとこなんだけど。失せてくんね?」
男は苛立ったように吐き捨てる。
「その人、嫌がってますよ。
手、離してください」
静かだけど、圧のある声。
「うっせぇな。
顔傷つけたくなかったらさっさと消えろよ」
男の苛立ちが増していく。
「消えるのは、お前だろ」
その一言で、空気が一変した。
「……んだとコラ」
男は私の手を離し、その人に詰め寄る。
危ない——
声を出したいのに、体が動かない。
「覚悟しろよ」
男が掴みかかろうとした、その瞬間——
「いでっ……!いてててて!!」
響いたのは悲鳴だった。
恐る恐る目を開けると、
さっきの男が床に押さえつけられていた。
「このまま警察行くか?」
淡々とした声。
「わ、わかった!離せ!
もう何もしねぇ!」
必死に抵抗する男。
「ほんとだな?」
少しだけ力を緩める。
「次やったら、本当に突き出すからな」
そう言って手を離すと、男は舌打ちをして逃げるように去っていった。
——静寂。
さっきまでの恐怖が一気に押し寄せてくる。
足の力が抜けそうになる
午前の業務を終え、お昼ご飯を買いにコンビニへ向かう途中だった。
「おね〜さん」
階段を降りていると、20代前半くらいの男に突然声をかけられた。
金髪にピアスがいくつも開いている。
正直、あまり関わりたくないタイプだ。
「どうしました?」
警戒しながらも、仕事として声を返す。
「検査室行きたいんだけどさぁ、場所わかんねぇんだよね。
案内してくんない?」
上から下まで舐めるような視線に、ゾクッと背筋が震えた。
どうしよう……断りたい。
でも患者さんかもしれない。
無下にするわけにもいかない。
「ねぇ、はーやーく。
俺、足怪我してるからさぁ。支えてくれる?」
そう言って、いきなり肩に手を回される。
「ちょっ……」
思わず離れようとすると——
「だーめ」
ぐっと腕を掴まれた。
力が強い。
「医療従事者が患者ほっとくとか、ありえなくね?
そんなことされたらさ、苦情入れちゃうかもー。
ねぇ、一ノ瀬さん?」
名札を見て、ニヤリと笑う。
怖い……。
「……わかりました」
小さく頷くしかなかった。
「やった♪」
嬉しそうに笑う顔が、逆に気持ち悪い。
早く終わらせよう。
それだけを考えて歩き出す。
「おねぇさんってさ、細いのに結構あるよね?」
肩に回された手が、ゆっくりと下に滑っていく。
ゾクッ——
全身に鳥肌が立つ。
「やめてください」
震えそうになる声を必死に抑えて言った。
「あはは、怒っちゃった?
でもさ、ぶっちゃけFくらいあるでしょ?」
視線が胸元に向けられる。
吐き気が込み上げた。
「このまま真っ直ぐ行けば検査室です。
ここからはお一人でお願いします」
そう言って腕を振り解こうとした瞬間——
ガッ
強く肩を掴まれる。
……こわい。
「なんで逃げようとすんの?
最後まで案内するのがお仕事でしょ?」
顔が近い。
息がかかる距離。
「それともさ——」
耳元で囁かれる。
「病室戻って、イイコトしてくれる?」
ぞわっと背筋が凍る。
強引に手を引かれ、非常口の方へ連れて行かれる。
痛い……っ
「やめて……っ」
声がうまく出ない。
怖い。
助けて——
そう思った、その瞬間。
「なにしてんの?」
低く、冷たい声が響いた。
ハッと顔を上げる。
涙で視界が滲んでいる。
それでも、その人の存在だけははっきり分かった。
「あ〜?何お兄さん。
今いいとこなんだけど。失せてくんね?」
男は苛立ったように吐き捨てる。
「その人、嫌がってますよ。
手、離してください」
静かだけど、圧のある声。
「うっせぇな。
顔傷つけたくなかったらさっさと消えろよ」
男の苛立ちが増していく。
「消えるのは、お前だろ」
その一言で、空気が一変した。
「……んだとコラ」
男は私の手を離し、その人に詰め寄る。
危ない——
声を出したいのに、体が動かない。
「覚悟しろよ」
男が掴みかかろうとした、その瞬間——
「いでっ……!いてててて!!」
響いたのは悲鳴だった。
恐る恐る目を開けると、
さっきの男が床に押さえつけられていた。
「このまま警察行くか?」
淡々とした声。
「わ、わかった!離せ!
もう何もしねぇ!」
必死に抵抗する男。
「ほんとだな?」
少しだけ力を緩める。
「次やったら、本当に突き出すからな」
そう言って手を離すと、男は舌打ちをして逃げるように去っていった。
——静寂。
さっきまでの恐怖が一気に押し寄せてくる。
足の力が抜けそうになる
