そして急いで売店に向かった時には、すでに遅くて――
ガーン。
卵サンドがない。
……やっぱり。人気だもんね。
でも、ついさっきまで私の手の中にあったのに……。
誰かのお腹の中で、幸せになってね……(大袈裟)
しょんぼりと肩を落としながら、おにぎりの棚に視線を移した、その時。
「あの、これ」
不意に声をかけられた。
「へ……?」
顔を上げると――
そこには、さっきの“イケメンの彼”が立っていた。
(だって、まだ名前知らないし……)
「これ、買おうとしてましたよね。
患者さんについて行って、そのまま戻ってこれてなかったみたいだったので」
そう言って差し出されたのは、
卵サンドとコーヒーが入った袋。
……神様?
――いや、違う。目の前にいる。
「あの……いいんですか?
あなたのご飯じゃないですか?」
そう言いながらも、手は正直に袋へと伸びてしまう。
「ふっ……僕はもう食べました。
嬉しそうに卵サンドを持ってたあなたに、これを渡したくて待ってたんです」
優しく笑って、そう言った。
ドクン――
ドクドクッ――
心臓が、さっきよりも強く脈打つ。
……不整脈?
なにこれ、こんな感覚、初めて。
――いや、それより。
「あの、本当にありがとうございます。
おいくらでしたか?」
慌てて財布を取り出すと――
「お姉さん、僕のこと覚えてます?」
彼が、少しだけ悪戯っぽく笑う。
「覚えてたら、これは僕の奢りです」
……え。
それって――
彼も、私のことを覚えてるってこと?
「○○ビルで……倒れた人がいた時に、助けてくれた方ですよね……?」
恐る恐る尋ねる。
合ってるよね……?
「覚えてくれてたのかよ……想像以上にやばいな」
小さく呟いた声は、うまく聞き取れなかった。
あれ……間違えた?
一気に不安が広がる。
「うん、正解です。
じゃあこの卵サンドは、僕の奢りってことで」
そう言って、私の手に袋を握らせてくれた。
指先が、ほんの少し触れる。
それだけで――また心臓が跳ねる。
「ほんとに……いいんですか?」
申し訳なさと、少しの嬉しさが混ざる。
「いつも頑張ってるお姉さんに、
僕からのちょっとしたプレゼントだと思ってください」
そう言って、彼は目を細めて笑った。
ブラウンの綺麗な瞳に、吸い込まれそうになる。
「……ありがとうございます。
お言葉に甘えさせていただきます」
ぺこっと頭を下げる。
その時――
「あ、そうだ」
彼がふと思い出したように言った。
「僕、佐野陽貴って言います。覚えておいて」
……え?
「また会おうね、一ノ瀬紗凪さん」
甘い香りだけを残して、彼は去っていった。
ガーン。
卵サンドがない。
……やっぱり。人気だもんね。
でも、ついさっきまで私の手の中にあったのに……。
誰かのお腹の中で、幸せになってね……(大袈裟)
しょんぼりと肩を落としながら、おにぎりの棚に視線を移した、その時。
「あの、これ」
不意に声をかけられた。
「へ……?」
顔を上げると――
そこには、さっきの“イケメンの彼”が立っていた。
(だって、まだ名前知らないし……)
「これ、買おうとしてましたよね。
患者さんについて行って、そのまま戻ってこれてなかったみたいだったので」
そう言って差し出されたのは、
卵サンドとコーヒーが入った袋。
……神様?
――いや、違う。目の前にいる。
「あの……いいんですか?
あなたのご飯じゃないですか?」
そう言いながらも、手は正直に袋へと伸びてしまう。
「ふっ……僕はもう食べました。
嬉しそうに卵サンドを持ってたあなたに、これを渡したくて待ってたんです」
優しく笑って、そう言った。
ドクン――
ドクドクッ――
心臓が、さっきよりも強く脈打つ。
……不整脈?
なにこれ、こんな感覚、初めて。
――いや、それより。
「あの、本当にありがとうございます。
おいくらでしたか?」
慌てて財布を取り出すと――
「お姉さん、僕のこと覚えてます?」
彼が、少しだけ悪戯っぽく笑う。
「覚えてたら、これは僕の奢りです」
……え。
それって――
彼も、私のことを覚えてるってこと?
「○○ビルで……倒れた人がいた時に、助けてくれた方ですよね……?」
恐る恐る尋ねる。
合ってるよね……?
「覚えてくれてたのかよ……想像以上にやばいな」
小さく呟いた声は、うまく聞き取れなかった。
あれ……間違えた?
一気に不安が広がる。
「うん、正解です。
じゃあこの卵サンドは、僕の奢りってことで」
そう言って、私の手に袋を握らせてくれた。
指先が、ほんの少し触れる。
それだけで――また心臓が跳ねる。
「ほんとに……いいんですか?」
申し訳なさと、少しの嬉しさが混ざる。
「いつも頑張ってるお姉さんに、
僕からのちょっとしたプレゼントだと思ってください」
そう言って、彼は目を細めて笑った。
ブラウンの綺麗な瞳に、吸い込まれそうになる。
「……ありがとうございます。
お言葉に甘えさせていただきます」
ぺこっと頭を下げる。
その時――
「あ、そうだ」
彼がふと思い出したように言った。
「僕、佐野陽貴って言います。覚えておいて」
……え?
「また会おうね、一ノ瀬紗凪さん」
甘い香りだけを残して、彼は去っていった。
