トップアイドルは白衣の天使に恋をする

紗凪side

2件目のヘリ出動も無事に終わり、ICUに戻ると——
桜庭くんが椅子に座って、本を読んでいた。

「ごめんね、途中でほったらかしにしちゃって」

そう声をかけると、彼の視線がゆっくりと本から私へ移る。

……なんだろう。

その一連の仕草が、まるでドラマのワンシーンみたいで。

ただ目を上げただけなのに、妙に絵になる。

「いえ、お疲れさまでした。一ノ瀬さん」

柔らかく微笑みながらそう言ってくれる。

「ありがとう」

最初はドキドキしていたその甘い雰囲気にも、少しだけ慣れてきた気がする。

——とはいえ、油断するとすぐ持っていかれそうだけど。

その後はヘリの出動もなく、

ICUの業務や看護師の仕事について説明しながら、通常業務をこなしていった。

気づけば、あっという間に時間が過ぎていて。

時計を見ると、18時を回っていた。

「桜庭くん、18時で終わりだよね?
初日お疲れ様。バタバタしちゃってごめんね」 

ヘリが2件入ったこともあって、ゆっくり教える時間があまり取れなかったのが少し心残りだ。

「いえ、一ノ瀬さんもお疲れ様でした。
すごく分かりやすく説明してもらえて、勉強になりました」

そう言って、少しだけ嬉しそうに笑う。

「あと4日、よろしくお願いします。……また明日」

「うん、また明日ね」

軽く手を振ると、桜庭くんも小さく手を上げて応えてくれた。

そんなやり取りをして、

シャドーイング1日目は、あっという間に終わった。

——なんだか、少しだけ賑やかな一日だったな。