トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「——と、ICUの中はこんな感じかな」

ひと通り、部屋の構造やモニター、備品庫の説明を終えた。

桜庭くんはというと、真剣な表情でメモを取りながら話を聞いてくれている。

……意外、なんて思うのは失礼かな。

時計に目をやると、気づけば1時間が経っていた。

「疲れてない?少し休憩挟もうか?」

そう声をかけると、

「全然平気っす!むしろ楽しすぎて、もっといろんな話聞きたいです」

目をキラキラさせながらそう答える桜庭くん。

その様子はまるで、新しいおもちゃを見つけた子どもみたいで——思わず頬が緩む。

「俺、体力には自信あるんで。どんどん教えてください」

得意げに笑う彼を見ていると、自然とこちらまで笑顔になる。

……ほんと、この子の笑顔は人にうつるなぁ。

「一ノ瀬さんってほんと——」


桜庭くんが何か言いかけた、その瞬間。

プルルルル-

ホットラインの音が鳴り響いた。

一気に張り詰める現場の空気。

「……ヘリですよね。頑張ってください」

桜庭くんが、少し真面目な声でそう言った。
「うん、ありがとう」

軽く頷きながら、私はすぐに動き出す。

「1人にしちゃってごめんね。すぐ戻るから、ここで待ってて」

「はい、行ってらっしゃい」

その言葉に背中を押されるようにして、

私はヘリポートへと急いだ。