「はい」
陽貴さんが返事をすると、ドアがゆっくり開いた。
入ってきたのは、落ち着いた雰囲気の中年の女性と男性。
女性はきっちりとした身なりで、柔らかい笑顔。
男性は白衣を羽織っていて、どこか理知的な印象だった。
あ、この人たちガチの医療者だ
空気が一瞬で変わる。
「初めまして」
女性が一歩前に出て、にこやかに微笑む。
「私はICU看護師長の堀田と申します。
こちらが薬剤師責任者の印南です」
「この5日間、分からないことがあれば何でも聞いてくださいね」
その声は柔らかいのに、不思議と逆らえない安心感があった。
「「「「よろしくお願いします」」」」
自然と背筋が伸びる。
なんか、ちゃんとしなきゃって思うな
「では早速ですが——」
堀田師長が手元の資料を軽く確認しながら続ける。
「今日からそれぞれ、役と同じ職種の方について
シャドーイングをしていただきます」
「薬剤師役の南くんは印南についていってね」
「はーい!よろしくお願いしまーす!」
蒼依は相変わらずのテンションで手を挙げる。
こいつ、順応早いな
「そして——」
一拍置いて、こちらを見る。
「ドクター役の佐野くん、神崎くん、
看護師役の桜庭くんは、私についてきてちょうだい」
「「「はい」」」
短く返事をして、部屋を出る。
蒼依は印南さんと別方向へ。
軽く手を振る蒼依に、俺たちも応じる。
そして——
コツ、コツ、コツ……
静かな廊下を進んでいく。
通り過ぎるたびに見えるのは、忙しそうに動く医療スタッフたち。
モニター音。
ストレッチャーの音。
低く交わされる指示。
さっきの部屋と、全然違う
ここは完全に“現場”だ。
「ここがICUです」
堀田師長が立ち止まり、目の前の扉を示す。
ICU——集中治療室。
重症患者が集まる場所。
ここに、あの人がいるのか
ふと、あの夜の光景が蘇る。
必死に命を繋いでいた、あの姿。
…会えるのか
隣を見る。
陽貴さん。
さっきより、明らかに無口。
無意識に、拳が少しだけ握られている。
やっぱり、緊張してる。
珍しいな、って思う。
いつも余裕な人なのに。
「それじゃあ、入りましょうか」
堀田師長がドアに手をかける。
ガチャ——
扉が、ゆっくり開いた。
その瞬間——
「3ベットSpO₂下がってる!FiO₂上げて!」
「ノルアド0.05追加します!」
「採血結果きました、Hb低下してます!」
一気に飛び込んでくる、張り詰めた声。
機械音と人の声が交錯する、緊張の空間。
……すげぇ
圧倒される。
陽貴さんが返事をすると、ドアがゆっくり開いた。
入ってきたのは、落ち着いた雰囲気の中年の女性と男性。
女性はきっちりとした身なりで、柔らかい笑顔。
男性は白衣を羽織っていて、どこか理知的な印象だった。
あ、この人たちガチの医療者だ
空気が一瞬で変わる。
「初めまして」
女性が一歩前に出て、にこやかに微笑む。
「私はICU看護師長の堀田と申します。
こちらが薬剤師責任者の印南です」
「この5日間、分からないことがあれば何でも聞いてくださいね」
その声は柔らかいのに、不思議と逆らえない安心感があった。
「「「「よろしくお願いします」」」」
自然と背筋が伸びる。
なんか、ちゃんとしなきゃって思うな
「では早速ですが——」
堀田師長が手元の資料を軽く確認しながら続ける。
「今日からそれぞれ、役と同じ職種の方について
シャドーイングをしていただきます」
「薬剤師役の南くんは印南についていってね」
「はーい!よろしくお願いしまーす!」
蒼依は相変わらずのテンションで手を挙げる。
こいつ、順応早いな
「そして——」
一拍置いて、こちらを見る。
「ドクター役の佐野くん、神崎くん、
看護師役の桜庭くんは、私についてきてちょうだい」
「「「はい」」」
短く返事をして、部屋を出る。
蒼依は印南さんと別方向へ。
軽く手を振る蒼依に、俺たちも応じる。
そして——
コツ、コツ、コツ……
静かな廊下を進んでいく。
通り過ぎるたびに見えるのは、忙しそうに動く医療スタッフたち。
モニター音。
ストレッチャーの音。
低く交わされる指示。
さっきの部屋と、全然違う
ここは完全に“現場”だ。
「ここがICUです」
堀田師長が立ち止まり、目の前の扉を示す。
ICU——集中治療室。
重症患者が集まる場所。
ここに、あの人がいるのか
ふと、あの夜の光景が蘇る。
必死に命を繋いでいた、あの姿。
…会えるのか
隣を見る。
陽貴さん。
さっきより、明らかに無口。
無意識に、拳が少しだけ握られている。
やっぱり、緊張してる。
珍しいな、って思う。
いつも余裕な人なのに。
「それじゃあ、入りましょうか」
堀田師長がドアに手をかける。
ガチャ——
扉が、ゆっくり開いた。
その瞬間——
「3ベットSpO₂下がってる!FiO₂上げて!」
「ノルアド0.05追加します!」
「採血結果きました、Hb低下してます!」
一気に飛び込んでくる、張り詰めた声。
機械音と人の声が交錯する、緊張の空間。
……すげぇ
圧倒される。
