そうこうしているうちに、日勤看護師たちも出勤してきて——
夜勤から日勤への申し送りが始まった。
「——以上です。おつかれっしたー」
「「「「お疲れ様でした」」」」
林くんの申し送りが終わり、それぞれが自分の持ち場へと散っていく。
よし、今日も忙しくなりそう。
そう思った、その時。
「一ノ瀬、ちょっといい?」
呼び止めたのは、ICUの看護師長さん。
厳しくて、でも誰よりもスタッフ思い。
現役時代はバリバリの救命ナースだったと聞いている。
この人には逆らえないんだよなぁ……
「はーい」
「一ノ瀬にお願いがあるんだけどね」
その言い方で、察した。
これ絶対断れないやつだ、と。
「忙しいのは分かってるんだけど……
本当に一ノ瀬にしか頼めなくて」
やめてくださいその前置き…
「……ドラマの撮影の指導役、お願いできない?」
「……はい?」
一瞬、思考が止まる。
「救急ナースの動きとか、リアルさを出したいらしくてね。
シャドーイングで付く子たちに教えてあげてほしいの」
あ……そういえば
梓が言っていた。
病院でドラマ撮影があるって。
「いやいやいや、無理です無理です」
思わず首を横に振る。
「ナースのお手本なんて、私じゃなくても……
もっとすごい人、たくさんいますよ?」
本気でそう思う。
「林くんとかどうですか?明るいし、指導も上手だし」
ごめん林くん、巻き込むね
「林はダメ」
即答。
「人たらしすぎる」
理由そこ!?
ガーン……
完全に逃げ道を塞がれた。
「……いつからですか?」
嫌な予感しかしない。
「今日」
「……え?」
「今日から」
……は?
「いやいやいや、ちょっと待ってください!」
思わず声が大きくなる。
「今日、私ヘリ担当ですよ!?
絶対無理です、ほんと余裕ないです!」
「出動要請が入ったらそっち優先でいいから。
空いてる時間で見せてあげて」
いやいやいやいや
ヘリの日って、
“空いてる時間”なんてほぼ存在しないんですけど……?
本気で言ってます……?
師長の顔を見る。
——本気だ。
終わった……
「……えぇ〜……ほんとに……」
小さくうめく。
「……了解しました」
負けた……
静かに肩を落とす。
「さっすが一ノ瀬!」
よろしく、と師長さん。
でも
私はまだ知らない。
この“引き受けた仕事”が、
自分の人生を大きく変えることになるなんて。
夜勤から日勤への申し送りが始まった。
「——以上です。おつかれっしたー」
「「「「お疲れ様でした」」」」
林くんの申し送りが終わり、それぞれが自分の持ち場へと散っていく。
よし、今日も忙しくなりそう。
そう思った、その時。
「一ノ瀬、ちょっといい?」
呼び止めたのは、ICUの看護師長さん。
厳しくて、でも誰よりもスタッフ思い。
現役時代はバリバリの救命ナースだったと聞いている。
この人には逆らえないんだよなぁ……
「はーい」
「一ノ瀬にお願いがあるんだけどね」
その言い方で、察した。
これ絶対断れないやつだ、と。
「忙しいのは分かってるんだけど……
本当に一ノ瀬にしか頼めなくて」
やめてくださいその前置き…
「……ドラマの撮影の指導役、お願いできない?」
「……はい?」
一瞬、思考が止まる。
「救急ナースの動きとか、リアルさを出したいらしくてね。
シャドーイングで付く子たちに教えてあげてほしいの」
あ……そういえば
梓が言っていた。
病院でドラマ撮影があるって。
「いやいやいや、無理です無理です」
思わず首を横に振る。
「ナースのお手本なんて、私じゃなくても……
もっとすごい人、たくさんいますよ?」
本気でそう思う。
「林くんとかどうですか?明るいし、指導も上手だし」
ごめん林くん、巻き込むね
「林はダメ」
即答。
「人たらしすぎる」
理由そこ!?
ガーン……
完全に逃げ道を塞がれた。
「……いつからですか?」
嫌な予感しかしない。
「今日」
「……え?」
「今日から」
……は?
「いやいやいや、ちょっと待ってください!」
思わず声が大きくなる。
「今日、私ヘリ担当ですよ!?
絶対無理です、ほんと余裕ないです!」
「出動要請が入ったらそっち優先でいいから。
空いてる時間で見せてあげて」
いやいやいやいや
ヘリの日って、
“空いてる時間”なんてほぼ存在しないんですけど……?
本気で言ってます……?
師長の顔を見る。
——本気だ。
終わった……
「……えぇ〜……ほんとに……」
小さくうめく。
「……了解しました」
負けた……
静かに肩を落とす。
「さっすが一ノ瀬!」
よろしく、と師長さん。
でも
私はまだ知らない。
この“引き受けた仕事”が、
自分の人生を大きく変えることになるなんて。
