トップアイドルは白衣の天使に恋をする

紗凪side

朝6時。

アラームより少し早く目が覚める。

よし、今日も頑張ろう。

ベッドから起き上がり、手早く身支度を整える。

病院に着くと、いつもとは違う更衣室へ向かう。

扉の前に掲げられたプレート。

Flight Doctor/Flight Nurse

今日はヘリ当番、

ドアを開け、専用のフライトスーツに袖を通す。

身体にぴたりとフィットする感覚に、

自然と気持ちが引き締まる。

いつ呼ばれても動けるように

準備を整え、そのままICUへ向かう。

この病院では、

フライトドクターとフライトナースは

通常業務をこなしながら、

要請があれば即出動する体制だ。

ギィ——

ドアを開けると、すでに夜勤帯は大詰め。

モニター音が規則的に響く中、

看護師たちがバイタルチェックや体位変換を行っている。

「おはよー」

声をかけながら、全体の状況をざっと確認する。

呼吸器管理よし、ドレーン量も問題なし……

「一ノ瀬さん、おはよっす!」

元気な声が飛んできた。

「今日はヘリの日っすか?相変わらず早いっすね」

夜勤リーダーの林くん。

「林くん、おはよ。うん、今日ヘリなんだ」

「やっぱりそうっすよね」

じっとこちらを見つめてくる。

「一ノ瀬さん、フライトユニフォームめっちゃ似合ってます。
ほんとかっこいいっす。俺、マジで憧れてます」

キラキラした目。

ほんと、素直だなぁ。

「林くんって、本当に褒め上手だよね」

「え、いや、マジで思ってるんすけど」

少し身を乗り出してくる。

「なんでいつも軽く流すんですか?
俺、けっこう本気で言ってるのに」

頬を膨らませて拗ねる仕草。

あはは、かわいい

「ありがとうね」

思わず笑ってしまう。

その瞬間——

「……っ」

林くんの動きが止まった。

耳まで真っ赤になっている。

「一ノ瀬さん、それ……反則っす」

「反則?」

思わず首を傾げる。

何がだろう?

「……いや、分かんないっすよね。知ってます」

小さく息を吐く林くん。

「それが一ノ瀬さんのいいところでもあるんで。
そのままでいてください」

「うん……?」

やっぱり、よく分からない。

でも——

なんか褒められてる……のかな?

とりあえず、そういうことにしておいた。