トップアイドルは白衣の天使に恋をする

バラード。

激しいダンス曲。

トロッコ。

ファンサ。

その全部に歓声が上がる。

そして。

センターステージへ4人が集まった時だった。

陽貴くんの視線が、ふっとこちらへ向く。

一瞬。

本当に一瞬だけ。

目が合った。

その瞬間。

陽貴くんが少しだけ笑った。

「——っ」

心臓が跳ねる。

まるで。

“見つけた”

って言われたみたいで。

隣の梓が即座に反応した。

「今見た!!絶対見た!!」

「ち、違……」

「いや見てた!!」

顔が熱い。

でもステージの上の陽貴くんは、もう次の曲へ入っていた。

何万人もいるのに。

ちゃんと私を見つけてくれた。

それだけで胸がいっぱいになる。

ライブ終盤。

最後の曲前。

会場が少し静かになる。

陽貴くんがマイクを持った。

「今日ここに来てくれて、本当にありがとうございます」

いつもより少し静かな声。

「このツアー、俺たちにとってすごく大事な時間です」

「正直、色んなことがありました」

その瞬間。

優朔さんを見る。

会場の空気も少し変わった。

事故のニュースは大きく報道されていたから。

ファンも知っている。

陽貴くんが続ける。

「でも、こうして4人でまたステージ立ててるのは」

「支えてくれた人達がいたからです」

その言葉に。

胸がじんわり熱くなる。

「だから、この景色を忘れません」

静かな声。

でも真っ直ぐだった。

そして最後の曲。

ドーム中に響く歌声。

揺れるペンライト。

涙を流してるファンの子たち。

その中心で。

黒騎士は最後まで、圧倒的に輝いていた。