陽貴side
クランクアップから早1ヶ月
またいつもの忙しい日々が始まった。
紗凪はICUにフライト。
俺たちはライブ準備、番組、雑誌、レコーディング。
会える日は少ない。
連絡だって、
『今から出動』
『夜勤入る』
『おやすみ』
そんな短いメッセージがやっとの日もある。
それでも不思議と、
前みたいな寂しさだけじゃなかった。
帰る場所がある。
それが分かってるだけで、頑張れた。
今日も朝から雑誌撮影。
都内のビル屋上。
風が強くて、スタイリストが「髪崩れる!」って騒いでる。
「陽貴もうちょい顎引いてー!」
カメラマンの声。
「はーい」
適当に返しながら立ち位置を直す。
横では奏が鏡見ながら騒いでいた。
「待って俺今日ビジュ良くない?」
「毎日言ってる」
蒼依が即ツッコミ。
優朔は呆れた顔でコーヒー飲んでる。
いつもの空気。
撮影は順調に進んでいた。
その時。
ババババババッ——
遠くから、聞き慣れたローター音。
自然と顔が上がる。
青空を横切るヘリコプター。
機体の横に見えた文字。
『Doctor-Heli』
その瞬間。
ふっと今日のメッセージを思い出した。
『今日ヘリ当番なの』
……そっか。
今日、飛んでるんだ。
思わず目で追ってしまう。
青空の中を、真っ直ぐ進んでいく機体。
あの中に、紗凪がいる。
今頃きっと。
患者の状態見て。
ドクターと連携して。
誰かを助けるために動いてる。
そう考えた瞬間。
なんか妙に胸が熱くなった。
「……かっけぇな」
ぽつりと零れる。
すると横から奏が聞き逃さない。
「ん?何が?」
「いや」
少し笑う。
「紗凪」
その名前に、奏たちも自然と空を見る。
「おっヘリじゃん」
蒼依が目を細める。
「一ノ瀬さんは今日はヘリ担当なんだね」
優朔が静かに頷く。
「ほんとすごいよね、一ノ瀬さん」
その言葉に、自然と口元が緩んだ。
……ほんと、そう。
俺はステージに立って。
歓声浴びて。
誰かに夢を与える仕事をしてる。
でも紗凪は。
空を飛んで、命を救ってる。
そう思うと。
誇らしかった。
めちゃくちゃ。
同時に。
少しだけ遠く感じるくらい、眩しかった。
「陽貴ー!」
スタッフの声。
「次ソロカットいきます!」
「はーい」
返事をしながら、最後にもう一度だけ空を見る。
ヘリはもう小さくなっていた。
一瞬でも。
同じ空の下をすれ違えた気がして。
それだけで、少し頑張れそうだった。
クランクアップから早1ヶ月
またいつもの忙しい日々が始まった。
紗凪はICUにフライト。
俺たちはライブ準備、番組、雑誌、レコーディング。
会える日は少ない。
連絡だって、
『今から出動』
『夜勤入る』
『おやすみ』
そんな短いメッセージがやっとの日もある。
それでも不思議と、
前みたいな寂しさだけじゃなかった。
帰る場所がある。
それが分かってるだけで、頑張れた。
今日も朝から雑誌撮影。
都内のビル屋上。
風が強くて、スタイリストが「髪崩れる!」って騒いでる。
「陽貴もうちょい顎引いてー!」
カメラマンの声。
「はーい」
適当に返しながら立ち位置を直す。
横では奏が鏡見ながら騒いでいた。
「待って俺今日ビジュ良くない?」
「毎日言ってる」
蒼依が即ツッコミ。
優朔は呆れた顔でコーヒー飲んでる。
いつもの空気。
撮影は順調に進んでいた。
その時。
ババババババッ——
遠くから、聞き慣れたローター音。
自然と顔が上がる。
青空を横切るヘリコプター。
機体の横に見えた文字。
『Doctor-Heli』
その瞬間。
ふっと今日のメッセージを思い出した。
『今日ヘリ当番なの』
……そっか。
今日、飛んでるんだ。
思わず目で追ってしまう。
青空の中を、真っ直ぐ進んでいく機体。
あの中に、紗凪がいる。
今頃きっと。
患者の状態見て。
ドクターと連携して。
誰かを助けるために動いてる。
そう考えた瞬間。
なんか妙に胸が熱くなった。
「……かっけぇな」
ぽつりと零れる。
すると横から奏が聞き逃さない。
「ん?何が?」
「いや」
少し笑う。
「紗凪」
その名前に、奏たちも自然と空を見る。
「おっヘリじゃん」
蒼依が目を細める。
「一ノ瀬さんは今日はヘリ担当なんだね」
優朔が静かに頷く。
「ほんとすごいよね、一ノ瀬さん」
その言葉に、自然と口元が緩んだ。
……ほんと、そう。
俺はステージに立って。
歓声浴びて。
誰かに夢を与える仕事をしてる。
でも紗凪は。
空を飛んで、命を救ってる。
そう思うと。
誇らしかった。
めちゃくちゃ。
同時に。
少しだけ遠く感じるくらい、眩しかった。
「陽貴ー!」
スタッフの声。
「次ソロカットいきます!」
「はーい」
返事をしながら、最後にもう一度だけ空を見る。
ヘリはもう小さくなっていた。
一瞬でも。
同じ空の下をすれ違えた気がして。
それだけで、少し頑張れそうだった。
