トップアイドルは白衣の天使に恋をする

現場はそのまま、最終話の撮影へと入っていく。

「はい、ラストシーンいきます!」

監督の声が響くと、空気が一気に引き締まった。

いつものICUセットなのに今日だけは、どこか特別に見える。

それぞれが役に入り込んでいく。

ドクター役の優朔さん
ナース役の奏くん
薬剤師役の蒼依くん
みんないつも以上に真剣だった。

「心拍低下!急げ!」

「輸血準備!」

モニター音が鳴り続ける中、カメラが回る。

その中心で陽貴くんは、真っすぐに患者役へ向き合っていた。

いつもより静かな表情。

でもその奥に、ちゃんと“物語の重み”がある。

…本当に終わるんだ

ふと、胸の奥がきゅっとなる。

あれだけ慌ただしかった日々が今、このシーンで締めくくられていく。

「カット!!」

監督の声が響く。

一瞬の静寂。

そして。

「OK!!最高!!」

現場がぱっと明るくなる。

一気に張り詰めていた空気がほどけた。

「終わったぁぁ!!」

奏くんが両手を上げる。

「マジで泣きそうなんだけど!」

「お前が泣くな」

蒼依くんが笑いながら突っ込む。

スタッフも拍手。

「お疲れさまでしたー!!」

その中で私は、少しぼんやりしていた。

本当に終わったんだ。