トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ようやく夜勤チームへの申し送りを終えた頃。

携帯がなった。

『紗凪ちゃーん』

聞こえた瞬間。

一気に気が抜けそうになる。

「……陽貴くん?」

『終わった?』

「今申し送り終わったとこ」

『おつかれさま』

優しい声。

それだけで疲れが溶ける。

「陽貴くんは?」

『今移動中』

『で、もうメンバー全員に自慢した』

「何を?」

『紗凪が撮影戻ってくること』

「自慢すること?」

『するでしょ』

真顔で言ってそう。

思わず笑う。

『奏とかめっちゃ喜んでた』

『“また紗凪さんの指導受けれる!”って』

「あはは」

『蒼依は“また陽貴さん機嫌良くなるじゃん”って』

「それは否定できないね」

『うん、否定しない』


楽しそうに笑う声。

そして少し間が空いて。

陽貴くんが、ぽつりと呟く。

『……早く会いたいな』

その声が少し寂しそうで。

胸がきゅっとなる。

「また明後日会えるよ」

『うん』

『でも今日も会いたい』

「寂しがりすぎ」

『紗凪不足だから仕方ない』

またそれ。

でもその言葉が嫌じゃない。

むしろ嬉しいと思ってしまう自分がいる。

「じゃあいっぱい構ってあげる」

『…言ったからな』

低く甘い声。

一気に顔が熱くなる。

「仕事だからね?」

『分かってる』

『……終わったあと』

その言い方がずるい。

心臓に悪い。

「もう……」

照れて言葉を濁すと。

陽貴くんが満足そうに笑った。

『照れてる紗凪かわいい』

『明後日から楽しみ』

その声を聞きながら。

私も自然と笑っていた。