トップアイドルは白衣の天使に恋をする

結局何度も引き止められて。

キスされて。

「行かないで」を繰り返されて。

本当に家を出るだけで一苦労だった。

玄関で靴を履いている時ですら。

後ろから抱きつかれていたくらいだ。

「……陽貴くん」

「んー?」

「遅刻する」

「それは困る」

そう言いながらも離れない。

「もうっ」

振り返ると。

陽貴くんがものすごく寂しそうな顔でこっちを見ていた。

完全に。

捨てられた子犬。

「……そんな顔しないで」

思わず頬に触れると。

その手にすり寄ってくる。

「早く帰ってきてね」

小さく落ちる声。

胸がぎゅっとなる。

「……うん」

そう返事をすると。

ようやく満足したみたいに笑った。

でも最後に。

「帰ったら覚悟してね」

なんて耳元で囁かれて。

私は朝から真っ赤になりながら病院へ向かう羽目になった。