トップアイドルは白衣の天使に恋をする

搬送終了後。

ヘリを降りたところでフライトドクターがふっと笑った。

「一ノ瀬」

「はい?」

「ほんとに久しぶりなのか?」

「え?」

思わずきょとんとする。

するとドクターが苦笑した。

「動き完璧すぎる」

「普通、久々だと少し感覚ズレるんだけどな」

「……そうですか?」

「そうですか?じゃない」

近くにいたCSも笑う。

「先生、一ノ瀬さん戻ってきてからめちゃくちゃ安心してましたもんね」

「言うな」

「顔に出てましたよ」

そんなやり取りに、思わず笑ってしまう。

でもその瞬間。

胸の奥がじんわり熱くなった。

――戻ってこれたんだ。

本当に。

そう実感する。


ヘリポートからICUへ向かう途中すれ違うスタッフたちが、次々こちらを見る。

「あっ、一ノ瀬さん!」

「フライトおかえり!」

「スーツ姿久しぶり!」

自然と笑みがこぼれる。

そしてICUへ入った瞬間。

「紗凪ちゃーーん!!」

「きゃーーー!!」

一気に歓声が上がった。

「おかえりー!!」

「やっぱそれ似合う〜!!」

「うわぁぁフライトスーツ姿久々!」

ナースたちが一斉に集まってくる。

思わず笑ってしまう。

「み、みんな近いっ」

「だって嬉しいんだもん!」

「ほんと戻ってきたんだねぇ……」

中には少し泣きそうな顔をしてる人までいる。

「どうだった!?」

「久しぶりのフライト!」

「緊張した?」

質問攻め。

そこへ。

「おいおい、ICU止まってるぞー」

ドクターが苦笑しながら入ってくる。

でもその顔もどこか嬉しそうだった。

「先生どうでした!?うちの紗凪!」

リーダーナースが聞く。

するとドクターは即答した。

「当たり前に完璧。久々とは思えなかった」

その言葉に。

周囲から「やっぱりー!」「さすが!」と声が上がる。

「一ノ瀬さん絶対そうだと思った!」

「ほんと安心感えぐいもん」

「ヘリチームに紗凪ちゃん戻って最強じゃん」

口々に言われて。

一気に恥ずかしくなる。

「いや、そんな……」

「謙遜しても無駄」

「ほんとにすごいから」

そう言われてしまう。

すると師長さんが少し離れたところで、ふっと笑った。

その顔はどこか安心したようで。

誇らしそうでもあった。

「やっぱりICUにもヘリにも、一ノ瀬は必要ね」

その言葉に。

胸がいっぱいになる。

私は自然と、笑っていた。

「……ただいまです」

その言葉に。

みんなが一斉に笑顔になった。