トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ローター音が激しく響く中。

ヘリは現場へ向かって飛び立った。

機内の空気は、一瞬で“仕事”に変わる。

搬送情報を確認しながら、私は必要物品を頭の中で整理していく。

交通外傷。

40代男性。

意識レベル低下。

多発外傷の可能性。

ショック移行もあり得る。

久しぶりのフライト。

それなのに、不思議なくらい身体は覚えていた。

「血圧低下してきたらすぐルート追加考えます」

「了解」

ドクターとのやり取りも自然だった。

現場へ到着。

救急隊から情報収集。

患者観察。

呼吸状態。

瞳孔。

出血部位。

全身を素早く確認していく。

「SpO2少し落ちてます」

「酸素上げます」

「左下腿変形あり」

「腹部も硬いですね」

次々に飛ぶ報告。

でも頭は冷静だった。

久しぶりとは思えないほど。

身体が自然に動く。

ドクターがちらりとこちらを見る。

その目が少し驚いていた。

処置介助もスムーズだった。

必要物品は言われる前に準備。

固定。

モニター管理。

薬剤確認。

搬送中も患者の表情変化を細かく拾う。

「先生、呼吸浅くなってきてます」

「……ほんとだ、早いな」

すぐ対応、挿管準備。

ヘリの中は狭い。

騒音も激しい。

でもその中で、一つも無駄のない動き。