トップアイドルは白衣の天使に恋をする

師長室を出たあともしばらく胸がふわふわしていた。

本格的にヘリ再開。

その言葉が、何度も頭の中を巡る。

嬉しい。

本当に嬉しい。

でも同時に。

また命の最前線に戻るんだという緊張感もあった。

廊下を歩きながら、そっと深呼吸する。

すると。

「一ノ瀬さん!」

後ろから声をかけられた。

振り返ると、林くん。

「……あ」

私の顔を見るなり、ぱっと表情を明るくする。

「師長さんから聞きました!フライト復帰決まったんですよね?!」

その声が嬉しそうすぎて、思わず笑ってしまう。

「うん、正式に決まったみたい」

そう言った瞬間。

「よかったぁぁぁ……!」

林くんが本気で安心した顔をした。

今にも泣きそうなくらい。

「俺、ほんとに……一ノ瀬さん戻れなかったらどうしようって思ってて……」

「林くんのおかげだよ」

「え?」

「いっぱい動いてくれたでしょ」

そう言うと。

林くんはぶんぶん首を横に振る。

「いやいやいや!俺なんて全然!」

「でも、ありがとうございます」

真っ直ぐにそう言われて。

胸がじんわり温かくなる。

するとそこへ。

「おーい林〜、薬剤まだー?」

向こうから先輩看護師の声。

「あっ、やばっ!」

慌てる林くん。

その姿が少し可愛くて、思わず笑う。

去り際。林くんは足を止めて振り返った。

「俺、フライトナース研修行けることになったっす。
一ノ瀬さんみたいなフライトナースになれるよう頑張ります」

その顔は、すごく嬉しそうだった。

「一緒に飛べる日を楽しみにしてるね」

そういうと林くんは満足そうに笑って走っていった。


――また飛べる。

その実感が、少しずつ湧いてくる。

気づけば自然と、足取りが軽くなっていた。