トップアイドルは白衣の天使に恋をする

朝。

カーテンの隙間から、薄く朝日が差し込んでいる。

まだ少し眠たそうな空気が部屋に残っていて。

私はぼんやり目を開けた。

すると。

すぐ隣に、陽貴くんの顔。

近い。

というか――抱きしめられてる。

ぴったり身体がくっついていて、背中には大きな手。

あったかい。

「……ん」

少しだけ身体を動かす。

すると。

腰に回された腕にぎゅっと力が入った。

「……起きるの?」

寝起きの掠れた声。

低くて甘くて、耳が熱くなる。

「今日、仕事だから……」

まだ少し眠い頭でそう言うと。

「やだ」

そう言ってぎゅっと抱きしめられる。

「ちょっとっ…」

思わず笑ってしまう。

目を開けた陽貴くんは、完全に甘えモード。

髪も少し乱れていて。

眠そうなのに、私を抱きしめる手だけはしっかりしてる。

「まだ行かないで」

子供みたいな言い方。

「陽貴くん、子供みたい……」

くすくす笑うと。

「紗凪が悪い」

真顔で言われる。

「こんな毎日一緒にいたあとに急に仕事とか無理」

「俺まだ紗凪不足」

そんなことを言いながら、首元に顔を埋めてくる。

「ちょっ……」

くすぐったくて肩をすくめると。

「今日休んでよー」

「無理だよっ」

「じゃああとちょっとだけ」

その“あとちょっと”が危険なのはもう分かってる。

案の定。

陽貴くんの手がするっと腰を撫でて。

「陽貴くんっ」

「んー?」

絶対分かってやってる。

「朝からだめっ」

「なんで」

「なんでって……!」

顔が熱い。

すると。

陽貴くんが少し身体を起こして、上から覗き込んでくる。

「だって今日休みだし」

「俺、今日一日紗凪いないとか耐えられない」

「だから今いっぱい補給したい」

「補給ってなに……っ」

笑ってしまう。

でも。

その目が本気で甘えていて。

可愛くて困る。

「……帰ったらいっぱい構ってあげるから」

なんとか宥めるように言うと。

陽貴くんがじっと私を見る。

「ほんと?」

「ほんと」

「いっぱい?」

「いっぱい」

すると。

ふっと満足そうに笑った。

でも次の瞬間。

不意打ちみたいに深くキスされる。

「んっ……」

朝から心臓に悪い。

唇が離れても、陽貴くんはすぐには離れてくれない。

額をこつんと合わせたまま。

「……これは前払い」

掠れた声でそう言う。

「もう……」

真っ赤になってる私を見て、すごく楽しそうに笑う。

そのまま。

またぎゅうっと抱きしめられる。