トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「紗凪」

また名前を呼ばれる。

今度は少し真面目な声。

「今日さ」

「うん……?」

「会議室で、紗凪が泣きそうになってるの見てほんとはすぐ抱きしめたかった」

その言葉に、胸が熱くなる。

「でもあの場じゃ無理だったから、ずっと我慢してた」

苦笑しながら言う陽貴くん。

「だから今めちゃくちゃ抱きしめてる」

「っ……」

そんなこと言われたら、また泣きそうになる。

「……ありがと」

小さく呟くと。

陽貴くんが少しだけ目を細める。

「うん」

その返事と一緒に。

また優しくキスが落ちてくる。

今度は額。

鼻先。

頬。

そして最後に唇。

触れるたび、愛されてるって伝わってくる。

「陽貴くん……」

「ん?」

「今日ね」

胸元をぎゅっと掴みながら言う。

「陽貴くんの顔見た瞬間、安心したの。
会議室で入ってきてくれた時。ほんとに、助かった」

そう言うと。

陽貴くんが少しだけ苦しそうな顔をする。

「もっと早く気づいてやれたらよかったのに。
もっと早く助けたかった」

その声に、思わず首を振る。

「十分だよ」

「いっぱい守ってくれた」

「だから今ここにいる」

そう言った瞬間。

陽貴くんの表情が、ふっとほどける。

「……ほんと、紗凪には敵わない」

小さく笑って。

また私を抱き寄せる。

大きな手が背中をゆっくり撫でる。

まるで安心させるみたいに。

その優しさに包まれていると。

自然と身体の力が抜けていく。

「眠い?」

「……ちょっと」

「今日いっぱい頑張ったもんな」

「うん……」

そう返事をすると。

陽貴くんがくすっと笑う。

「じゃあ寝室行く?」

でも。

そう言いながらも、すぐには動かない。

私を抱きしめたまま。

髪を撫でたり。

頬にキスをしたり。

時々、愛おしそうに見つめたり。

その全部が甘すぎて。

胸が苦しくなるくらい幸せだった。

気づけば私は、陽貴くんの胸に顔を埋めたまま。

彼に抱きしめられて。

何度もキスをされながら。

幸せで満たされた夜を、ゆっくり過ごしていた。