トップアイドルは白衣の天使に恋をする

みんなと別れて。

残ったのは、私と陽貴くんだけ。

さっきまで賑やかだったのに。

急に静かになった夜道が、少しだけくすぐったい。

肩には、陽貴くんの上着。

大きくて、温かくて。

歩くたびにふわっと香る匂いに、また胸が落ち着かなくなる。

「……寒くない?」

隣から優しい声。

「うん、大丈夫」

そう返事をすると。

「ほんとか?」

ちらっと覗き込まれる。

街灯の明かりに照らされた横顔。

その目が、優しすぎて。

なんだか直視できない。

「……ほんと」

少し照れながら言うと。

「ならいいけど」

ふっと笑う。

そのまま、少し歩く。

夜の街は思ったより静かで。

車の音も遠い。

でも、不思議と沈黙は気まずくなくて。

むしろ、心地いい。

ふと。

手の甲に、柔らかく何かが触れる。

びくっとして横を見ると。

陽貴くんの手。

さっきより自然に、ゆっくりと指が絡む。

「……」

心臓が、大きく跳ねる。

「そんなびっくりする?」

少し笑いながら聞かれる。

「だって……急に」

小さく答えると。

「嫌だった?」

その言い方が、少しだけずるい。

ちゃんと、私の気持ちを確認してくれるから。

「……嫌じゃない」

正直に言う。

すると。

ふっと、優しく目が細くなる。

その表情だけで、胸がいっぱいになる。