トップアイドルは白衣の天使に恋をする

撮影現場に戻ると――

空気が、さっきまでとはまるで違っていた。

スタッフたちが慌ただしく動き回っている。

あちこちで電話の音。

誰かが早口で指示を出している声。

「え、マジで?」「どうするんですかこれ」

そんな言葉が飛び交っていて。

思わず足を止める。

……すごいことになってる

さっきまで会議室で起きていたことが、

もう現場全体に波紋みたいに広がっているのが分かる。

「陽貴さん!」

呼ばれた方を振り向くと、制作スタッフの人が駆け寄ってくる。

「とりあえず、しばらく撮影ストップになります」

息を少し切らしながらそう言った。

「え……」

「花宮さんの件、やっぱりかなり大きくて……」

少し声を落とす。

「ほぼ、降板になると思います」

その言葉に、胸がざわっとする。

分かっていたこと。

でも、実際にそう言われると――

現実味が増す。

「今、スケジュール全部組み直してるんで」

「今日はもう上がってもらって大丈夫です」

そう言って、軽く頭を下げてまた別のスタッフの方へ走っていった。

…終わったんだ

ひとつ、大きなことが。

そう実感する。

隣を見ると、みんなも同じように少し複雑な顔をしていた。

でも――

どこか、ほっとしたような空気もあって。