トップアイドルは白衣の天使に恋をする

紗凪の資格会議まで――あと2日

時間はもうほとんど残されていない

撮影の合間

俺と優朔は、人気のない通路で林を呼び止めた

「林」

声をかけると、すぐに振り返る

その表情は、どこか張り詰めていて

ずっと気を張ってるのが見て取れる

「……例の件、進展あったんですか?」

真っ直ぐな目

迷いも疑いもなく、ただ信じてる目

「……あぁ」

ポケットから、例のものを取り出す

袋に入った証拠

アドレナリンと、点滴ルート

それを見た瞬間――

林の目が、大きく見開かれる

「……っ、これ……!」

声が震えている

「どこで……」

「胡桃の家」

短く答える

一瞬、言葉を失う林

そのまま、ゆっくりと理解が追いついていく

「……やっぱり……」

握りしめた拳が、震えている

悔しさと、怒りと、安堵が混ざった顔

「一ノ瀬さんが……あんなミスするわけないって……思ってたんです」

ぽつりとこぼれる言葉

目には、うっすら涙が溜まっている

「……ありがとうございます」

深く、頭を下げられる

「ほんとに……ありがとうございます……!」

その必死さに、少しだけ息を呑む

思ってた以上に、紗凪のこと大事に思ってる

「まだ終わってねぇよ」

軽く言う

「これからだろ」

そう言うと、林はぐっと涙を堪えて頷いた

「はい……!」

…可愛い奴だな

ほんの少しだけ、そんな感情が浮かぶ

「師長に繋いでほしい」

優朔が静かに言う

林はすぐに動いた