その後も――
陽貴くんは、いつもと変わらなかった
お風呂から上がってきて、
「いい匂いする」ってキッチンを覗き込んで
温め直したハンバーグを一口食べて――
「……うま」
少し驚いたように笑う
「ほんとに美味しい」
そう言って、ちゃんと目を見てくれる
その言葉に、胸が少しだけ軽くなる
「よかった……」
自然と笑顔がこぼれる
ポテトサラダも、付け合わせも、
全部きれいに食べてくれて
「ごちそうさま」
そう言ってくれる姿も、いつも通りで
…やっぱり、いつもの陽貴くんだ
そう思うのに
――でも
頭のどこかに、引っかかるものが残っている
消えないまま
そのまま一緒に片付けをして、気づけば時間は深夜
ベッドに入った頃には、もう2時を回っていた
「……さすがに眠いな」
陽貴くんが、少し力の抜けた声でそう言う
そのまま、布団に入って――
ほんの数分もしないうちに
静かな寝息が聞こえてくる
「……」
横を見る
すぐに眠ってしまった顔
少しだけ、無防備で
さっきまでの大人っぽい雰囲気とは違って、どこか幼く見える
「……おつかれさま」
小さく呟く
そっと手を伸ばして、頬に触れる
温かい
ちゃんとここにいる
それだけで、本当は安心できるはずなのに
……毎日、忙しいのに
朝早くから夜遅くまで
きっと、想像できないくらい大変で
それでも、こうして帰ってきてくれて
優しくしてくれて
「……すごいな」
ぽつりとこぼれる
こんな人が、私の彼氏なんだ
改めて思うと、少し不思議で
少しだけ誇らしくて
胸があたたかくなる
陽貴くんからもらってるものは、きっとすごく大きい
安心も
優しさも
大切にされてるっていう実感も
ちゃんと、分かってる
分かってるのに――
「……」
ふと、鼻に残る感覚
さっきの、あの匂い
考えないようにしても、浮かんでくる
抱きしめられたときの、違和感
あの、知らない香り
女の人の、だよね
自分でそう思ってしまったことが、苦しくなる
信じたいのに
疑いたくなんてないのに
胸の奥が、ざわざわする
横を見る
眠っている陽貴くん
何も知らない顔で
穏やかに眠っている
怖くて聞けなかった答えを知るのが、怖くて
「……はぁ」
小さく息を吐く天井を見つめる眠らなきゃいけないのに
目を閉じても、すぐにあの匂いが浮かんでくる
時間だけが、静かに過ぎていく
隣には、大切な人がいるのに
どうしても――
心だけが、少しだけ離れている気がして
その夜は、なかなか眠りにつけなかった
陽貴くんは、いつもと変わらなかった
お風呂から上がってきて、
「いい匂いする」ってキッチンを覗き込んで
温め直したハンバーグを一口食べて――
「……うま」
少し驚いたように笑う
「ほんとに美味しい」
そう言って、ちゃんと目を見てくれる
その言葉に、胸が少しだけ軽くなる
「よかった……」
自然と笑顔がこぼれる
ポテトサラダも、付け合わせも、
全部きれいに食べてくれて
「ごちそうさま」
そう言ってくれる姿も、いつも通りで
…やっぱり、いつもの陽貴くんだ
そう思うのに
――でも
頭のどこかに、引っかかるものが残っている
消えないまま
そのまま一緒に片付けをして、気づけば時間は深夜
ベッドに入った頃には、もう2時を回っていた
「……さすがに眠いな」
陽貴くんが、少し力の抜けた声でそう言う
そのまま、布団に入って――
ほんの数分もしないうちに
静かな寝息が聞こえてくる
「……」
横を見る
すぐに眠ってしまった顔
少しだけ、無防備で
さっきまでの大人っぽい雰囲気とは違って、どこか幼く見える
「……おつかれさま」
小さく呟く
そっと手を伸ばして、頬に触れる
温かい
ちゃんとここにいる
それだけで、本当は安心できるはずなのに
……毎日、忙しいのに
朝早くから夜遅くまで
きっと、想像できないくらい大変で
それでも、こうして帰ってきてくれて
優しくしてくれて
「……すごいな」
ぽつりとこぼれる
こんな人が、私の彼氏なんだ
改めて思うと、少し不思議で
少しだけ誇らしくて
胸があたたかくなる
陽貴くんからもらってるものは、きっとすごく大きい
安心も
優しさも
大切にされてるっていう実感も
ちゃんと、分かってる
分かってるのに――
「……」
ふと、鼻に残る感覚
さっきの、あの匂い
考えないようにしても、浮かんでくる
抱きしめられたときの、違和感
あの、知らない香り
女の人の、だよね
自分でそう思ってしまったことが、苦しくなる
信じたいのに
疑いたくなんてないのに
胸の奥が、ざわざわする
横を見る
眠っている陽貴くん
何も知らない顔で
穏やかに眠っている
怖くて聞けなかった答えを知るのが、怖くて
「……はぁ」
小さく息を吐く天井を見つめる眠らなきゃいけないのに
目を閉じても、すぐにあの匂いが浮かんでくる
時間だけが、静かに過ぎていく
隣には、大切な人がいるのに
どうしても――
心だけが、少しだけ離れている気がして
その夜は、なかなか眠りにつけなかった
