――ガチャ、ガチャ
鍵の開く音
ぼんやりしていた意識が、ゆっくり浮かび上がる
「……ん……」
重たい瞼をこすりながら、体を起こす
視界に入るリビング
テレビはついたまま
自分はソファの上
私……寝ちゃってたんだ
少しだけ、体が冷えている気がする
そのままゆっくり起き上がると――
玄関の方から、足音
「……紗凪?」
陽貴くんと目が合う
一瞬、少しだけ驚いたような顔
「……ソファで寝てたの?」
優しい声
でもどこか、少しだけ疲れているようにも聞こえる
「……うん」
小さく頷く
少しだけ恥ずかしくて、視線を逸らす
「おかえりって……どうしても言いたくて」
ぽつりと、正直な気持ちがこぼれる
その言葉に――
陽貴くんの表情が、ふっとやわらぐ
なんとも言えない、優しい顔
「……ただいま」
静かに返ってくる声
そのまま、少し近づいてきて――
「ちょっと……充電させて」
そう言って
ぐっと、抱き締められる
突然のことに、少し驚く
でもすぐに、力が抜ける
あたたかい腕包み込まれる感覚
「……ん」
自然と、身体を預ける
……あったかい一気に安心する
さっきまで感じていた寂しさが、すっと消えていく
……幸せ
そう思った、その瞬間――
……あれ?
ふと、違和感
鼻に届く匂い
いつもの、陽貴くんの匂いじゃない
もっと、強くて甘くて
どこか、人工的な――
「……っ」
胸が、ドクンと大きく鳴る
これ……
一瞬で、嫌な予感が広がる
……香水?
しかも
……女の人の?
詳しくないはずなのに
それでも分かってしまうくらい、違う
頭の中が、一気にざわつく
さっきまでの安心感が、ぐらりと揺れる
抱き締められているのに
少しだけ、苦しく感じる
……なんで?
考えたくないのに、考えてしまう
どこに……行ってたの?
不安が、じわじわと広がっていく
「……ねぇ」
気づけば、声が出ていた
少しだけ、震えている
自分でも分かるくらい
「……どこか……に、行ってたの?」
振り絞るように、聞く
陽貴くんの腕が、少しだけ緩む
顔を上げる
視線が合う
「いや」
いつもと変わらない声
落ち着いていて
「撮影が長引いただけだよ」
迷いのない返事
その言葉に――少しだけ、胸が締めつけられる
…ほんとに?
心ではそう思っても聞く勇気はなくて
信じたい
でも、さっきの匂いが頭から離れない
言葉と感覚が、噛み合わない
「よし」
陽貴くんが、軽く笑う
「風呂入って、ご飯食べるな」
優しく言って
ポン、と頭を撫でられる
いつもと同じ仕草
いつもなら、安心するはずなのに
「……うん」
小さく頷く
でも――うまく、笑えない
心の奥に残った違和感が
静かに、消えずに残っていた
鍵の開く音
ぼんやりしていた意識が、ゆっくり浮かび上がる
「……ん……」
重たい瞼をこすりながら、体を起こす
視界に入るリビング
テレビはついたまま
自分はソファの上
私……寝ちゃってたんだ
少しだけ、体が冷えている気がする
そのままゆっくり起き上がると――
玄関の方から、足音
「……紗凪?」
陽貴くんと目が合う
一瞬、少しだけ驚いたような顔
「……ソファで寝てたの?」
優しい声
でもどこか、少しだけ疲れているようにも聞こえる
「……うん」
小さく頷く
少しだけ恥ずかしくて、視線を逸らす
「おかえりって……どうしても言いたくて」
ぽつりと、正直な気持ちがこぼれる
その言葉に――
陽貴くんの表情が、ふっとやわらぐ
なんとも言えない、優しい顔
「……ただいま」
静かに返ってくる声
そのまま、少し近づいてきて――
「ちょっと……充電させて」
そう言って
ぐっと、抱き締められる
突然のことに、少し驚く
でもすぐに、力が抜ける
あたたかい腕包み込まれる感覚
「……ん」
自然と、身体を預ける
……あったかい一気に安心する
さっきまで感じていた寂しさが、すっと消えていく
……幸せ
そう思った、その瞬間――
……あれ?
ふと、違和感
鼻に届く匂い
いつもの、陽貴くんの匂いじゃない
もっと、強くて甘くて
どこか、人工的な――
「……っ」
胸が、ドクンと大きく鳴る
これ……
一瞬で、嫌な予感が広がる
……香水?
しかも
……女の人の?
詳しくないはずなのに
それでも分かってしまうくらい、違う
頭の中が、一気にざわつく
さっきまでの安心感が、ぐらりと揺れる
抱き締められているのに
少しだけ、苦しく感じる
……なんで?
考えたくないのに、考えてしまう
どこに……行ってたの?
不安が、じわじわと広がっていく
「……ねぇ」
気づけば、声が出ていた
少しだけ、震えている
自分でも分かるくらい
「……どこか……に、行ってたの?」
振り絞るように、聞く
陽貴くんの腕が、少しだけ緩む
顔を上げる
視線が合う
「いや」
いつもと変わらない声
落ち着いていて
「撮影が長引いただけだよ」
迷いのない返事
その言葉に――少しだけ、胸が締めつけられる
…ほんとに?
心ではそう思っても聞く勇気はなくて
信じたい
でも、さっきの匂いが頭から離れない
言葉と感覚が、噛み合わない
「よし」
陽貴くんが、軽く笑う
「風呂入って、ご飯食べるな」
優しく言って
ポン、と頭を撫でられる
いつもと同じ仕草
いつもなら、安心するはずなのに
「……うん」
小さく頷く
でも――うまく、笑えない
心の奥に残った違和感が
静かに、消えずに残っていた
