トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ドアを開けて、外に出る

冷たい空気が、一気に流れ込んでくる

やっと呼吸が戻る

すぐに通話ボタンを押す

「……もしもし」

『陽貴?今なにしてる?』

優朔の声

『紗凪ちゃんの例の件で話したいことが――』

「悪い、今胡桃の家」

一瞬、沈黙

『……は?』

明らかに動揺した声

『おまえ、まさか――』

「違う」

短く遮る

「後で説明する」

それだけ言って、通話を切る

長く話してる時間はない

深く息を吐く

……よし

気持ちを切り替えて、ドアを開ける

部屋に戻ると、胡桃がソファにもたれていた

「大丈夫だったぁ〜?」

甘い声

何も疑ってない顔

「悪い」

少し申し訳なさそうに言う

「社長に呼び出された今から行かないと」

自然に違和感なく

胡桃は一瞬だけ残念そうな顔をして――

すぐに笑う

「そっかぁ、なら仕方ないね♡」

あっさり

拍子抜けするくらい

「また近いうちにね?」

「あぁ」

短く返す

それ以上は何も言わない

そのまま玄関へ向かう

ドアを開ける

外に出る

――閉まる音

その瞬間

「……はぁ……」

大きく息を吐く

一気に緊張がほどける

…危なかった

ポケットの中の証拠を、そっと握る

これで……終わらせる

視線を上げる

夜の空気の中で、静かに決意して

俺はその場を後にした