トップアイドルは白衣の天使に恋をする

撮影の合間

ほんの少しだけ空いた時間に、スマホを取り出す

画面に映る名前

「紗凪」

それだけで、少しだけ気持ちが落ち着く

…心配させたくねぇな

今からやること

正直、リスクしかない

でも――言うわけにはいかない

指を動かして、短く打つ

『今日はかなり遅くなりそうだから、先にご飯食べて寝てて』

送信

ほんの数秒

それだけなのに、やけに長く感じる

すぐに、画面が震える

『わかった無理しないでね』

その一文を見た瞬間

胸の奥が、じんわりと温かくなる

本当に優しいな

何も聞かずに、ただ気遣ってくれる

その存在に、どれだけ救われてるか

思わず、少しだけ笑みがこぼれる

…絶対、守る

そう思いスマホをポケットにしまう

メンバーの顔が頭をよぎる

言えば、間違いなく止められる

優朔も、奏も、蒼依も

だから――言わない

これは、自分でやる