トップアイドルは白衣の天使に恋をする

家の前に着くと自然と足が速くなる

鍵を取り出して、ドアを開ける

その瞬間――

ふわっと、あたたかい香りが広がる

バターの香ばしさと、優しいスープの匂い

どこか懐かしくて、心がほどけるような香り

その奥から、パタパタと小さな足音

「お帰りなさい」

明るい声と一緒に現れたのは――

エプロン姿の紗凪

その姿を見た瞬間時間が止まったみたいだった

なにこれ思考が追いつかない

柔らかく揺れる髪

ほんのり赤い頬少しだけ照れたような笑顔

まるで天使だ

「……ただいま」

やっとのことで返す



そのまま中に入ると、視界に広がるのは――

綺麗に並べられた料理

一皿一皿が丁寧で

色合いも整っていて

まるでレストランみたいだった

「……これ」

思わず声が漏れる

「紗凪が作ったの?」

振り返って聞くと

紗凪は少しだけ視線を落として

「……昨日のお礼、したくて」

小さく、でもしっかりとした声

その一言に――胸がぎゅっと締め付けられる

そんなこと、考えてくれてたのか

言葉が出ないまま

気づけば、身体が動いていた

そっと、抱き寄せる

「……ありがとう」

自然と、心から出た言葉

腕の中に収まる、小さな身体

少し驚いたあと、ゆっくりと腕が回される

抱きしめ返してくれる

その温もりが、じんわりと伝わってくる

一気に今日の疲れが吹き飛ぶはぁ…幸せだ

こんな風に思える日が来るなんて

しばらく、そのままでいたくなる

でも――

「冷めちゃうよ?」

くすっと笑いながら言われて

「……だな」

名残惜しさを感じながら、そっと離れた