トップアイドルは白衣の天使に恋をする

頭の中で考えを巡らせていると――

「胡桃さん、今日はヘリ見なくていいんです?」

ふいに、遠くから声が聞こえる

「……っ」

反射的に、振り返る

視線の先

医療スタッフと話している、胡桃

……今、なんて言った?

“今日はヘリに行かなくていい?”

そんな風に、聞こえた

距離があって、はっきりとは聞こえない

でも――

胸の奥がざわつく

''今日は''って事は胡桃は行ったことがあるのか?ヘリに

スタッフと楽しそうに話している胡桃をみる

その表情は、やっぱり余裕があって


「おい、どうした」

優朔の声で我に返る

「……いや」

視線を戻す

まだ確証はない

でも

……何かある確実に

「休憩終わるぞー!」

監督の声が響く

一気に現場が動き出す

「一旦解散な」

小さく言うと、みんな頷く

それぞれ持ち場へ戻っていく

俺も歩き出しながら――

もう一度だけ、胡桃の方を見る

変わらず、笑っている

……絶対、逃がさねぇ