トップアイドルは白衣の天使に恋をする

――どれくらい時間が経ったのか、分からない

気づけば、部屋の空気は少し落ち着いていて

さっきまでの緊張も、全部ほどけていた

少しの怖さとたくさんの幸せを感じた瞬間だった




「……大丈夫?」

優しくかけられる声

そのトーンがあまりにも柔らかくて

「……うん」

小さく頷く

安心感が、じんわり広がっていく

そっと体を起こすと、少しだけ気恥ずかしくて視線を逸らす

そんな私を見て、陽貴くんがくすっと笑う

「顔真っ赤」

「……言わないで」

少し拗ねたように言うと、また優しく笑われる

「お風呂入ろっか」

そう言われてこくんと頷く

そのまま手を引かれて、バスルームへ

一緒に入るなんて、正直まだ慣れなくて

少しドキドキしながらも、隣にいるのが陽貴くんだと思うと不思議と落ち着く

湯気の中

さっきまでとは違う、穏やかな空気

何気ない会話をしながら、ゆっくり過ごす時間

それが、すごく心地よくて

お風呂から上がる頃には、さっきの緊張もすっかり消えていた

――

部屋に戻ると、ベッドが整えられている

「今日はこっちで寝て」

自然にそう言われる

少しだけドキッとするけど

「……うん」

素直に頷く

ベッドに入ると、ふわっと柔らかい感触と、ほんのり残る陽貴くんの香り

その隣に、そっと横になる

距離は近いけど、さっきとは違う

穏やかで、落ち着いた時間

「……疲れた?」

「ちょっとだけ」

「そりゃそうだよな」

くすっと笑いながら、髪を優しく撫でられる

その手があたたかくて

自然と、体の力が抜けていく

「……紗凪」

名前を呼ばれて、少しだけ顔を上げる

「今日、ありがと」

まっすぐな声

その言葉に、胸がじんわりする

「ありがとうは私の方だよ…」

小さく返す

そのまま、そっと近づいて

腕の中に収まる

包み込まれるような安心感

鼓動が、ゆっくり重なっていく

「おやすみ」

耳元で、優しく囁かれる

「……おやすみ」

同じように返して、目を閉じる

今日一日

たくさんの出来事があって

たくさんの感情があって

でも最後は――

こんなに穏やかで、あたたかい

……幸せ

そう思いながら

陽貴くんの隣で、ゆっくりと眠りに落ちていった