トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「予約してるお店がドレスコードあるんだ」

陽貴くんの言葉に、少しだけ驚く

「今の服もすごく可愛いんだけど、少し着替えてから行こうか」

優しくそう言われる

…夜ご飯まで予約してくれてるんだ

胸の奥がじんわり温かくなる

ここまで考えてくれてたんだ

「……うん」

小さく頷くと――

「お待ちしてましたよー佐野様ー!」

突然、元気いっぱいの声

びくっとしてそっちを見ると、勢いのあるおばさまたちが3人、こちらに歩いてくる

「え、あの……」

状況が追いつかないまま

「こいつお願い」

ぽん、と軽く肩を押される

「えっ……」

そのまま、おばさまたちに囲まれて

気づけば試着室の方へ連れて行かれていた

「ちょっと失礼するわねー」

「腕上げてー」

慣れた手つきで、どんどん測られていく

バスト、ウエスト、ヒップ

あっという間に全身のサイズが測られていく

「はいオッケー」

「いい体してるわねぇ」

「あるとこあるのに、なんでウエストこんな細いのかしら」

一人のおばさまが感心したように言う

「え、いや……」

思わず戸惑う

なんだか恥ずかしくて、顔が熱くなる

そのままサイズ測定が終わると、奥からいくつかドレスが運ばれてくる

「この辺りが合うと思うわよ」

並べられたドレスたち

どれも綺麗で、思わず見入ってしまう

「好きなの選んで」

後ろから、陽貴くんの声

振り返ると、少しだけ柔らかく笑ってる

「……うん」

頷いて、もう一度ドレスに目を向ける

たくさんある中で

ふと、目に入った一着

派手さはない

でも、落ち着いた上品な色味

シルエットも綺麗で

胸元が少しだけ開いているデザインが、さりげなくて

自然と手が伸びる

「これにします」

そう言うと、おばさまたちがにこっと笑う

「いいじゃない」

「絶対似合うわよ」

そのまま試着室へ案内される

「はい、着替えるの手伝うわね」

手際よくドレスに着替えさせてもらう

背中のファスナーが上がって

布が身体にぴったりと馴染む

「……どう?」

おばさまの声

「……」

鏡を見る

そこに映っていたのは――

いつもと違う自分

少し大人っぽくて

少しだけ背伸びしたみたいな姿

「……すごい」

思わず、ぽつりとこぼれる

「ほら、見せに行きましょ」

背中を軽く押される

用意されたヒールを履きドキドキしながら、カーテンの外へ出る

陽貴くん、なんて言うかな

その一歩が、少しだけ緊張した