トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「……あのさ」

少しだけトーンが変わる

「俺明日、撮影オフなんだけど」

「え?」

「丸一日ね」

さらっと言われる

一瞬、意味を理解するのに時間がかかる

「……だから」

少しだけこっちを見て

「このまま、うち来る?」

静かに言われる

「……っ」

ボッと顔が熱をもつ

頭の中が真っ白になる

家……?

え、どういう……

ドキドキが止まらない

でも

さっき、自分が言った言葉

“もう少し一緒にいたい”

その気持ちは、本当で

逃げるのは違う気がして

「……」

少しだけ、息を整える

そして

「……うん」

小さく頷く

声が、少し震えていた

でも

それでも

ちゃんと、自分の意思で

そう答えた

その瞬間

隣で、少しだけ空気が変わる

「……後悔すんなよ」

低く、でもどこか優しい声

「しないよ」

自分でも、驚くくらい

迷いはなかった

陽貴くんが怪しく笑い

「言うようになったね、紗凪ちゃん」

意地悪くそう言った

ぎくっ…

陽貴くんが悪い顔をしてる

やっぱり取り消そうかな…なんて少し考えてしまった

車は、そのまま進む方向を変える

夜の街を抜けて

新しい場所へ

胸のドキドキを抱えたまま――

私は、隣に座り続けていた