トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ピーポーピーポー……

遠ざかっていくサイレン。

俺たちは、しばらくその場に立ち尽くしていた。

「びっくりしたね。まさか人が倒れるなんて」

奏がぽつりと呟く。

「一気に酔い覚めたわ。
でも助かってよかったな」

蒼依が笑いながら言う。

「僕は陽貴が変装もせずに行くから、ヒヤヒヤしたよ」

優朔の言葉に、少しだけ肩がすくむ。

「……悪い。でも、ほっとけなかった」

気づいたら、体が動いていた。

「うん、分かってるよ」

優朔はやさしく笑う。

「陽貴のそういうところ、ちゃんとかっこいいと思う」

「ってかさー!あの女の人、めっちゃ可愛くなかった!?
モデルかと思ったんだけど!」

蒼依が大げさに言う。

「うん、綺麗な人だったね。それに処置も的確だったし……
きっと相当経験のある看護師さんだと思うよ」

優朔が冷静に分析する。

その言葉を聞いた瞬間。

胸の奥が、チクッと痛んだ。


……なんだこれ


「中央大学病院って言ってたよね。
次病院行く時はそこだなー」

奏がぼんやりと呟く。

「こら。一般の方を詮索しない」

優朔が軽くたしなめた。

「ほら、帰るよ」

そうして俺たちは、それぞれの帰路についた。