トップアイドルは白衣の天使に恋をする

ふと、ある顔が浮かぶ

――陽貴

あいつ、今日ずっと分かりやすかった

視線も、空気も、全部

あんなに出るタイプだったっけってくらい

たぶん昨日、何かあったな

でなきゃあそこまでいかない

それに陽貴って、これまでずっとそういうの無かったんだよな

グループが結成されてから今まで、

自分のことより、まずグループ

仕事、パフォーマンス、メンバー

全部そこに注いできた

遊びで女の子と関わることもなければ、

近づいてくる子も、どこかでちゃんと線引いてた

寄せ付けない、っていうか最初から入れないタイプ

それが普通だった

なのに一ノ瀬さんに対してだけは、明らかに違う

距離の取り方も、視線も、空気も

全部、いつもと違う方向に動いてる

……珍しいどころじゃないな、これ


彼女はというと――

……気づいてないな、これは

いや、なんとなくは感じてるかもしれないけど

あの感じだと、まだ“全部”は分かってない

それがまた厄介