トップアイドルは白衣の天使に恋をする

紗凪side

撮影2日目の朝

現場に入ると、昨日と同じはずの空気なのに、どこかだけ違って感じた

原因は、分かってる

彼の姿を見つけた瞬間、胸がドクンと大きく鳴った

「……っ」

目が合う

ほんの一瞬だけ

すぐに逸らされた

昨日みたいに話しかけてくることもなくて、距離も、ちゃんと保たれている

それが逆に、少しだけ寂しかった

気まずい……よね、やっぱり

昨日あんなことを言われて、何もなかったみたいに接する方が難しい

でも

――嫌じゃなかった

あの時の陽貴君

優しくて、完璧で、誰にでも同じ顔を見せる“王子様”じゃなくて

ちょっと意地悪で、少し強引で、独占欲を隠さない“素”の顔

正直、びっくりした怖いとも思った

でも同時に、作られた笑顔よりあのまっすぐな感情の方がずっと近く感じた