トップアイドルは白衣の天使に恋をする

「……だからあんま煽んないで?」

耳元で囁かれた声に、ぞくりと背筋が震える

「煽ってなんか……」

「煽ってる」

即答


陽貴君は私の顎を軽く摘まんで、無理やり視線を合わせてくる

「自分がどんな顔してるか分かってる?」

「え……?」

「無自覚で男引っかける顔」

――っ?!

「そ、そんなこと……!」

「ある」

また被せられる

逃がす気がない

「林くんなんか完全に落ちてるし」

「林くんは後輩として……!」

「奏もあれ、絶対懐いてるだけじゃない」

「違いますっ」

必死に否定する私を見て、陽貴君はふっと笑った

……意地悪

完全に遊ばれてる

「紗凪ちゃんさ」

彼の指先がゆっくり私の唇をなぞる

「男にこういう顔見せちゃダメ」

「っ……」

息が止まりそうになる

「自分で誘っといて無自覚なの、ほんとタチ悪い」

「誘ってません……」

「へぇ?」

陽貴君はわざとらしく首を傾げた

「俺の膝乗って、赤くなって、あんな声出してたのに?」

「〜〜っ!!」

最悪だ

思い出しただけで死にそう

「しかもキスされそうになった時、逃げなかったよね」

「それは……っ」

言葉に詰まる

逃げ、なかった

怖かったわけじゃない

むしろ――

「……っ」

黙った私を見て、

陽貴君の目が細くなる

「その顔」

腰に回っていた手が、

ゆっくり背中を撫でた

「俺じゃなかったら、とっくに食われてるよ」

低い声

ぞくり、と全身が熱くなる