花宮胡桃side
……なんなの、あの子
最初はただの看護師だと思ってた
病院監修で来てる、その辺によくいる医療スタッフの一人
それなのに
現場に入って数十分
空気が全部、あの女中心に回り始めていた
「一ノ瀬さん、この持ち方で合ってます?」
「紗凪ちゃんも出演してよ〜」
「一ノ瀬さん助かります〜!」
スタッフが笑う
黒騎士のメンバーまで自然に輪に入ってる
……は?
私は台本を閉じて、その様子を遠くから眺めた
普通なら主演女優の私に気を遣うでしょ
もっと話しかけるでしょ
でも現実は違う
あの女はただそこに立ってるだけなのに、
周りが勝手に惹かれていく
それが無性に気に障った
しかも
「紗凪ちゃん」
陽貴くんがあんな呼び方するの、初めて聞いた
基本かなり線引くタイプなのに
女優相手でも一定距離
ベタベタされても流すだけ
なのにあの看護師には、明らかに空気が違う
目が柔らかい
無意識に気にかけてる
……なにそれ
面白くない
私はヒロインなのに
この作品で一番目立つのは私であるべきなのに
なのに現場の人間が見てるのは、白衣を着た一般人
しかも本人はその自覚ゼロ
男に媚びるわけでもなく、
色目を使うわけでもなく
ただ普通に笑ってるだけ
――だから厄介
ああいう天然が、一番男を狂わせる
「本当に何もないので、気になさらず」
さっきの言葉を思い出す
……ふーん
つまり気づいてないんだ
周りの男が、自分に目を奪われてること
だったらなおさら
早めに消しておかないと面倒になる
だって私、奪われるの嫌いなの
……なんなの、あの子
最初はただの看護師だと思ってた
病院監修で来てる、その辺によくいる医療スタッフの一人
それなのに
現場に入って数十分
空気が全部、あの女中心に回り始めていた
「一ノ瀬さん、この持ち方で合ってます?」
「紗凪ちゃんも出演してよ〜」
「一ノ瀬さん助かります〜!」
スタッフが笑う
黒騎士のメンバーまで自然に輪に入ってる
……は?
私は台本を閉じて、その様子を遠くから眺めた
普通なら主演女優の私に気を遣うでしょ
もっと話しかけるでしょ
でも現実は違う
あの女はただそこに立ってるだけなのに、
周りが勝手に惹かれていく
それが無性に気に障った
しかも
「紗凪ちゃん」
陽貴くんがあんな呼び方するの、初めて聞いた
基本かなり線引くタイプなのに
女優相手でも一定距離
ベタベタされても流すだけ
なのにあの看護師には、明らかに空気が違う
目が柔らかい
無意識に気にかけてる
……なにそれ
面白くない
私はヒロインなのに
この作品で一番目立つのは私であるべきなのに
なのに現場の人間が見てるのは、白衣を着た一般人
しかも本人はその自覚ゼロ
男に媚びるわけでもなく、
色目を使うわけでもなく
ただ普通に笑ってるだけ
――だから厄介
ああいう天然が、一番男を狂わせる
「本当に何もないので、気になさらず」
さっきの言葉を思い出す
……ふーん
つまり気づいてないんだ
周りの男が、自分に目を奪われてること
だったらなおさら
早めに消しておかないと面倒になる
だって私、奪われるの嫌いなの
