歌姫の場所。

人でにぎやかな道を一人で通る。
粉雪なので積もることはないが
クリスクス直前の街のイルミネーションを
より美しくしている様に見える。

恋人がいない俺は勿論クリスマスは一人。
男友達と過ごすような気は一切ない。
急いで恋人を作る気にもならない。
いつもと変わらずに過ごす、
そんな予定を立てていた。

毎週金曜日の場所が近づいてくる。
…心が躍る。鼓動が速まる。
角を曲がればすぐそこにはあそこ。

しかしそこで歩みが止まった。
いつもの音楽とは違うものが聞こえた。
声からして明らかに違う曲。
慌てて角を曲がってみた。


──立ち尽くす彼女がいた。