粉雪が降る。
手に触れた雪は
体温に耐え切れず水と化す。
水は歩道に微かに溜まった雪へと
腕を伝って呆気なく落ちてゆく。

水が伝った後をコートの裾で拭い、
顔を上げれば…目的地。

「あれ ? 」

いつもの場所では男が集まり
ロックバンドの様なものが
行われていた。

…場所を取られた。
いつも通りの時間の筈なのに。

白い溜息を吐く。

あちらも自分のことを
知っているのだろうか。
知っていて時間を選んだのだろうか。

そんなことを思っても仕方がなかった。
自分専用でも、何でもないあの場所。
自分が何を言っても、思っても
無駄でしかないのだ。