歌姫の場所。

此処にいる私が『私』なのだから。
私以外が歌っても『私の歌』にはならない。
── だから私の場所は此処。
常に私の心の日溜り。


そう彼と約束したのだから。


彼はもう此処にはいない。
でもどこかで私の歌を聞いてくれている。
そう信じてるから。

黙り込んだ男の子に私は言う。

「…あの、」

「聞いてもらえませんか ? 私の歌…」


今も貴方の温もりを忘れられないまま。

私は今日も歌い続ける。


END.