歌姫の場所。

男の子の言葉の一つ一つで
冷えた心まで温まる。
…そのおかげなのだろうか。
先程よりも明らかに緊張が解けている。

そして私の顔に笑顔が浮かぶ。

「『私の歌』は…
ここにしかないんです。
別の場所で歌っても、
求めてられている『私の歌』
は歌えないんです」

男の子は私のことを静かに見つめる。
私は自分の心を静かに見つめる。