私と並んで歩く萌乃は、小さく首を傾げながら小声で聞いてきた。
「八木さんと何かあったんですか?」
その問いに、私は軽く肩を竦めてみせる。
「軽い口喧嘩みたいなものよ。実際どうでもいい内容だし。でもまあ、どうでもいい内容だからこそ今さら蒸し返すのもなんだし、なんとなくこんな雰囲気になっちゃってるの。ごめんね、気まずいよね」
「いえ。まあ、誰しもうまく噛み合わないときはありますから。私はそこまで気にしませんけど。でも、明日花さんはいいんですか?」
「何が?」
「せっかく好きな人との食事なのに、気まずいままで」
「あのね、萌ちゃん。それ、勘違いだから」
少しうんざりしたように顔を顰めるが、萌乃は不思議そうに首を傾げ、後ろを歩く先輩二人へ視線を送る。
「そうなんですか? 私はてっきり、お二人はお互いに想い合っているのかと思っていましたが」
「なっ!!」
思わず大きな声が出た。
この子は突然何を言い出すのだろう。
再び暴れ始めた心臓は、今にも体から飛び出しそうなほど跳ね回っている。
「矢城さん、どうかした?」
私たちの会話が聞こえているはずもないが、後ろを歩く白谷吟の声音は明らかに面白がっている。
「なんでもないです」と平静を装って返し、私は慌てて萌乃に口を寄せた。
「どうしてそうなるのよ?」
挙動不審な私をよそに、萌乃は楽しそうに声を弾ませる。
「どうしてと言われても……お二人は阿吽の呼吸というか、二人だけの空気感というか……そういうのが出来上がってるなって。たぶん周りの皆さんもそう思ってると思いますけど?」
「そりゃ、ずっとコンビを組んで仕事してるんだから、それなりにお互いのことは分かってきてるけど……」
「もしかして、明日花さん」
煮え切らない私の返しに、萌乃はまさかと言わんばかりに目を丸くする。
「な、なに?」
「ご自分の気持ちに気づいていないわけじゃないですよね?」
「いや、だからね。それはあなたの勘違いなんだって」
「そうでしょうか? 私、こういうカンは結構当たるんですけど」
萌乃は軽く腕を組み、考えるような仕草をしてみせる。
私はもう一度軽くあしらう。
「本当にあなたの勘違いよ」
「え〜。明日花さんは、八木さんを見てドキッとしたりしませんか?」
「八木さんと何かあったんですか?」
その問いに、私は軽く肩を竦めてみせる。
「軽い口喧嘩みたいなものよ。実際どうでもいい内容だし。でもまあ、どうでもいい内容だからこそ今さら蒸し返すのもなんだし、なんとなくこんな雰囲気になっちゃってるの。ごめんね、気まずいよね」
「いえ。まあ、誰しもうまく噛み合わないときはありますから。私はそこまで気にしませんけど。でも、明日花さんはいいんですか?」
「何が?」
「せっかく好きな人との食事なのに、気まずいままで」
「あのね、萌ちゃん。それ、勘違いだから」
少しうんざりしたように顔を顰めるが、萌乃は不思議そうに首を傾げ、後ろを歩く先輩二人へ視線を送る。
「そうなんですか? 私はてっきり、お二人はお互いに想い合っているのかと思っていましたが」
「なっ!!」
思わず大きな声が出た。
この子は突然何を言い出すのだろう。
再び暴れ始めた心臓は、今にも体から飛び出しそうなほど跳ね回っている。
「矢城さん、どうかした?」
私たちの会話が聞こえているはずもないが、後ろを歩く白谷吟の声音は明らかに面白がっている。
「なんでもないです」と平静を装って返し、私は慌てて萌乃に口を寄せた。
「どうしてそうなるのよ?」
挙動不審な私をよそに、萌乃は楽しそうに声を弾ませる。
「どうしてと言われても……お二人は阿吽の呼吸というか、二人だけの空気感というか……そういうのが出来上がってるなって。たぶん周りの皆さんもそう思ってると思いますけど?」
「そりゃ、ずっとコンビを組んで仕事してるんだから、それなりにお互いのことは分かってきてるけど……」
「もしかして、明日花さん」
煮え切らない私の返しに、萌乃はまさかと言わんばかりに目を丸くする。
「な、なに?」
「ご自分の気持ちに気づいていないわけじゃないですよね?」
「いや、だからね。それはあなたの勘違いなんだって」
「そうでしょうか? 私、こういうカンは結構当たるんですけど」
萌乃は軽く腕を組み、考えるような仕草をしてみせる。
私はもう一度軽くあしらう。
「本当にあなたの勘違いよ」
「え〜。明日花さんは、八木さんを見てドキッとしたりしませんか?」
