「ちょっと、先輩。やめてくださいよ。髪が乱れるじゃないですか」
そう言いながら髪を直し、少し膨れてみせる。
ちょうどその時、ノック音とともに萌乃が三人分のカップをトレーに乗せて戻ってきた。
「お待たせしました」
萌乃はチラリと私を見てから、先輩二人にカップを手渡し、最後の1つを私の前に置く。
「明日花さんの分も新しいものをお持ちしました。こちらをどうぞ」
カップを取り替える瞬間、萌乃は私の耳元にそっと口を寄せた。
「先ほどは取り乱してすみませんでした。明日花さんは、白谷さんじゃなくて……八木さんがお好きだったんですね」
その囁きに、思わず目を見張る。
萌乃はニコリと微笑み、冷めたカップをトレーに乗せて離れていった。
私が、シロ先輩を好き……?
萌乃の言葉が頭の中で繰り返される。
無意識に髪を撫でつけた。さっき感じたシロ先輩の手のひらの重みが蘇る。重くも痛くもなく、ちょうど良い加減で置かれたあの手は、不快どころか心地よかった。
満足そうに笑うシロ先輩の顔まで思い出された。
あのままもっとポンポンされていたかった。そんな考えがよぎる。
「クロ? どうした? ぼうっとして」
シロ先輩の声に我に返る。
白谷先輩が不思議そうにこちらを見ている。
その隣で萌乃が、意味ありげにニコリと笑った。
みんなの視線から逃れるように顔をそらした瞬間、ガッと頭を掴まれる。
「打ち合わせ始めるぞ」
シロ先輩が私の頭を掴んだまま覗き込んでくる。
不意打ちの近さに、心臓が大きく跳ねる。そのまま激しく脈打ち始めた。
「は、はい。すみません」
下を向くと視界からシロ先輩のアップが消え、安堵の息が漏れた。
いつも一緒に行動しているのに。こんな距離感、今までにもあったはずなのに。
鳴りやまない鼓動に戸惑いながら顔を上げる。
隣のシロ先輩をチラリと見ると、見慣れた横顔のはずなのに、なぜか眩しく見えた。ギュッと目を閉じる。
鎮まれと願っても、胸の鼓動は強まるばかり。
これって、もしかして……。
そっと目を開き、もう一度シロ先輩を見る。やはり、彼が輝いて見えた。
そう言いながら髪を直し、少し膨れてみせる。
ちょうどその時、ノック音とともに萌乃が三人分のカップをトレーに乗せて戻ってきた。
「お待たせしました」
萌乃はチラリと私を見てから、先輩二人にカップを手渡し、最後の1つを私の前に置く。
「明日花さんの分も新しいものをお持ちしました。こちらをどうぞ」
カップを取り替える瞬間、萌乃は私の耳元にそっと口を寄せた。
「先ほどは取り乱してすみませんでした。明日花さんは、白谷さんじゃなくて……八木さんがお好きだったんですね」
その囁きに、思わず目を見張る。
萌乃はニコリと微笑み、冷めたカップをトレーに乗せて離れていった。
私が、シロ先輩を好き……?
萌乃の言葉が頭の中で繰り返される。
無意識に髪を撫でつけた。さっき感じたシロ先輩の手のひらの重みが蘇る。重くも痛くもなく、ちょうど良い加減で置かれたあの手は、不快どころか心地よかった。
満足そうに笑うシロ先輩の顔まで思い出された。
あのままもっとポンポンされていたかった。そんな考えがよぎる。
「クロ? どうした? ぼうっとして」
シロ先輩の声に我に返る。
白谷先輩が不思議そうにこちらを見ている。
その隣で萌乃が、意味ありげにニコリと笑った。
みんなの視線から逃れるように顔をそらした瞬間、ガッと頭を掴まれる。
「打ち合わせ始めるぞ」
シロ先輩が私の頭を掴んだまま覗き込んでくる。
不意打ちの近さに、心臓が大きく跳ねる。そのまま激しく脈打ち始めた。
「は、はい。すみません」
下を向くと視界からシロ先輩のアップが消え、安堵の息が漏れた。
いつも一緒に行動しているのに。こんな距離感、今までにもあったはずなのに。
鳴りやまない鼓動に戸惑いながら顔を上げる。
隣のシロ先輩をチラリと見ると、見慣れた横顔のはずなのに、なぜか眩しく見えた。ギュッと目を閉じる。
鎮まれと願っても、胸の鼓動は強まるばかり。
これって、もしかして……。
そっと目を開き、もう一度シロ先輩を見る。やはり、彼が輝いて見えた。
