パタパタと軽快な足音を響かせて小会議室を出ていく萌乃を、先輩二人は不思議そうな顔で見送った。
「なぁ。あいつって、あんな気の利いたこと言う奴だったか?」
「萩田さんは気が利く子だよ。でも今日は、いつもより表情が明るかったね。矢城さん、何か魔法でもかけたの?」
白谷吟が爽やかな笑顔でこちらを見る。その視線を遮るように、私は両手を横に振った。
「私は何も。ただ雑談をしてただけですよ。ってか、魔法って何ですか?」
軽くツッコミを入れながら否定する。
彼のこういうウィットに富んだ会話が、萌乃を含む多くの人を惹きつけるのだろう。
「そうだなぁ。矢城さんが使う魔法だから、癒し系とかじゃない? 僕はいつも矢城さんの笑顔に癒されてるから。ねぇ、史郎もそう思わない?」
「は? 知らねぇし」
突然話を振られたシロ先輩は、不機嫌そうにそっぽを向く。そんな二人のやり取りに苦笑しつつ、私は萌乃のことを白谷吟に尋ねた。
「あの、白谷先輩。萌ちゃんの仕事ぶりって、どうですか?」
「え? 萩田さん?」
「はい。なんか少し悩んでいたというか……」
実際には恋心ゆえの空回りなのだが、仕事に影響が出ていたのは事実。それとなく彼女への印象を確かめる。
「ああ、やっぱりそうだったんだ。彼女、仕事ができないわけじゃないと思うよ。ただちょっと肩に力が入りすぎてる感じかな。気をつけて見てたつもりなんだけど、僕と話すと余計に力が入っちゃうみたいで。でも、矢城さんと話して何か吹っ切れたのかな」
眉尻を下げる白谷吟に、私は曖昧に笑っておく。ここで萌乃の気持ちを暴露するわけにはいかない。
とはいえ、パーフェクトヒューマンのことだ。気づいている可能性も高い。
そんなことを考えていると、シロ先輩が意外そうに声を上げた。
「クロが相談に乗ったのか?」
「え? 相談というか、話の流れというか……まぁ、大したことじゃないですよ」
「そうかそうか。あのクロが、後輩の相談に。やっと先輩としての自覚が芽生えたんだな」
私の言葉など聞く気もない様子で、シロ先輩は満足そうに私の頭をポンポンと叩いた。
「なぁ。あいつって、あんな気の利いたこと言う奴だったか?」
「萩田さんは気が利く子だよ。でも今日は、いつもより表情が明るかったね。矢城さん、何か魔法でもかけたの?」
白谷吟が爽やかな笑顔でこちらを見る。その視線を遮るように、私は両手を横に振った。
「私は何も。ただ雑談をしてただけですよ。ってか、魔法って何ですか?」
軽くツッコミを入れながら否定する。
彼のこういうウィットに富んだ会話が、萌乃を含む多くの人を惹きつけるのだろう。
「そうだなぁ。矢城さんが使う魔法だから、癒し系とかじゃない? 僕はいつも矢城さんの笑顔に癒されてるから。ねぇ、史郎もそう思わない?」
「は? 知らねぇし」
突然話を振られたシロ先輩は、不機嫌そうにそっぽを向く。そんな二人のやり取りに苦笑しつつ、私は萌乃のことを白谷吟に尋ねた。
「あの、白谷先輩。萌ちゃんの仕事ぶりって、どうですか?」
「え? 萩田さん?」
「はい。なんか少し悩んでいたというか……」
実際には恋心ゆえの空回りなのだが、仕事に影響が出ていたのは事実。それとなく彼女への印象を確かめる。
「ああ、やっぱりそうだったんだ。彼女、仕事ができないわけじゃないと思うよ。ただちょっと肩に力が入りすぎてる感じかな。気をつけて見てたつもりなんだけど、僕と話すと余計に力が入っちゃうみたいで。でも、矢城さんと話して何か吹っ切れたのかな」
眉尻を下げる白谷吟に、私は曖昧に笑っておく。ここで萌乃の気持ちを暴露するわけにはいかない。
とはいえ、パーフェクトヒューマンのことだ。気づいている可能性も高い。
そんなことを考えていると、シロ先輩が意外そうに声を上げた。
「クロが相談に乗ったのか?」
「え? 相談というか、話の流れというか……まぁ、大したことじゃないですよ」
「そうかそうか。あのクロが、後輩の相談に。やっと先輩としての自覚が芽生えたんだな」
私の言葉など聞く気もない様子で、シロ先輩は満足そうに私の頭をポンポンと叩いた。
