「そういえば先輩、お気に入りのスイーツ店には寄らなくていいんですか? 数量限定販売に行くって言ってませんでした?」
行き掛けに、そんな話をしていた。
シロ先輩はちらりと私を見て、ぶすっとした顔で前を向いた。
「ああ、プレゼンが終わったら直帰して行こうと思ってたんだが……まあ、諦めるしかないな」
「それじゃ私が代わりに買ってきてあげますよ! 先輩は会議に出てください」
シロ先輩のお気に入りの店には、何度か一緒に行ったことがある。たぶん、私ひとりでも行けるはず。
そう思って提案すると、シロ先輩は不機嫌そうにじろりと睨んできた。
「クロ、お前……」
「はい?」
「自分だけサボろうとしてるだろ?」
(……バレたか)
「えっと……そ、それは……」
言葉に詰まる私を横目に、シロ先輩は大きくため息をついた。
「ったく。クロは、ほんと会議嫌いだよな」
呆れたようにふっと笑うと、シートに深く身を沈め、早く車を出せと言わんばかりに手をひらひらと振った。
(先輩だって、大概だと思うんだけどなぁ……)
シロ先輩は会議に出ても、ほとんど発言しない。興味なさそうな顔で、資料をぼんやり眺めているだけ。それがポーズだってことは、毎日一緒にいればなんとなくわかる。
だから、そんなシロ先輩が「会議に間に合うように戻る」と言ったときは驚いた。
もしかしたら、今日はそう思わざるを得ないほど重要な話があるのかもしれない。
シロ先輩って、意外と周りの状況をよく見ている。
(だから上司受けがいいのかな)
そんなことをぼんやり考えながら、私は車を発進させた。
---
「お疲れ様です! お先に失礼します!」
定時より少し早めに仕事を切り上げ、私は勢いよく席を立った。
シロ先輩は気だるげに片手を上げて「おう」とだけ答えた。どうやら残業するようだ。限定スイーツは、もう諦めたのかな。
「残業ですか?」
「ああ、キリのいいところまではやって帰るつもりだ」
シロ先輩は、私に手伝ってほしいときは、ちゃんとそう言う。今は必要ないのだろう。
「そうですか。じゃあ、私はお先に」
間もなく定時ということもあり、気の抜けた声があちこちから聞こえる。
私は荷物を手に、オフィスを出るとトイレへと向かった。
行き掛けに、そんな話をしていた。
シロ先輩はちらりと私を見て、ぶすっとした顔で前を向いた。
「ああ、プレゼンが終わったら直帰して行こうと思ってたんだが……まあ、諦めるしかないな」
「それじゃ私が代わりに買ってきてあげますよ! 先輩は会議に出てください」
シロ先輩のお気に入りの店には、何度か一緒に行ったことがある。たぶん、私ひとりでも行けるはず。
そう思って提案すると、シロ先輩は不機嫌そうにじろりと睨んできた。
「クロ、お前……」
「はい?」
「自分だけサボろうとしてるだろ?」
(……バレたか)
「えっと……そ、それは……」
言葉に詰まる私を横目に、シロ先輩は大きくため息をついた。
「ったく。クロは、ほんと会議嫌いだよな」
呆れたようにふっと笑うと、シートに深く身を沈め、早く車を出せと言わんばかりに手をひらひらと振った。
(先輩だって、大概だと思うんだけどなぁ……)
シロ先輩は会議に出ても、ほとんど発言しない。興味なさそうな顔で、資料をぼんやり眺めているだけ。それがポーズだってことは、毎日一緒にいればなんとなくわかる。
だから、そんなシロ先輩が「会議に間に合うように戻る」と言ったときは驚いた。
もしかしたら、今日はそう思わざるを得ないほど重要な話があるのかもしれない。
シロ先輩って、意外と周りの状況をよく見ている。
(だから上司受けがいいのかな)
そんなことをぼんやり考えながら、私は車を発進させた。
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「お疲れ様です! お先に失礼します!」
定時より少し早めに仕事を切り上げ、私は勢いよく席を立った。
シロ先輩は気だるげに片手を上げて「おう」とだけ答えた。どうやら残業するようだ。限定スイーツは、もう諦めたのかな。
「残業ですか?」
「ああ、キリのいいところまではやって帰るつもりだ」
シロ先輩は、私に手伝ってほしいときは、ちゃんとそう言う。今は必要ないのだろう。
「そうですか。じゃあ、私はお先に」
間もなく定時ということもあり、気の抜けた声があちこちから聞こえる。
私は荷物を手に、オフィスを出るとトイレへと向かった。
