クロとシロと、時々ギン

「何ですか? 私、何か変なこと言いました?」

 不思議に思って首を傾げる。
 すると、シロ先輩はハッとした様子で我に返ってから、どこか嬉しそうな顔で言った。

「いや、何でもねぇ。子供の頃にもそんなことを言われたことがあったなと思っただけ」

 シロ先輩はそれだけ言うと、前を向いて歩き出す。
 私は手を引かれながらシロ先輩の表情を窺う。その横顔には、微かに笑みが浮かんでいる。
 シロ先輩が何を思い出したのかは分からない。
 けれど、こうしてシロ先輩が笑っているのならば、きっと悪い思い出ではないはずだ。

 いつか、今日のことも良い思い出として二人で思い出して笑いたい。
 私は、繋いでいる手に力を込めた。
 シロ先輩も応えるように握り返してくれる。

 仕事でのコンビは解消してしまうけれど、これからは人生のパートナー。
 些細なことで喜びを感じたり、不安になったりする日々を私たちはお互いを支えにして歩いていく。
 そう思うと、この先の日々に心が躍った。

 私たちは、月明かりの下をゆっくりと進む。先の未来へと向かって。

 ふと振り返ると、砂浜には私たち二人の影が寄り添って伸びていた。


~Fin.~