クロとシロと、時々ギン

「どうだろうな」

 拍子抜けした。

 私は、シロ先輩が認めてくれるものだと思っていた。
 それなのに、否定も肯定もしない。
 私が混乱していると、シロ先輩は困ったように笑った。

「まぁ、ちゃんと話をするから、とりあえず飯を食え」

 私は言われるままにスプーンを手に取った。
 シロ先輩は、私が食べ始めたのを確認して自分も食事を始める。
 結局何も話さないまま食事は終わった。
 食後のコーヒーを飲んでいる間も、シロ先輩は黙ったまま。
 私はとうとう我慢できずに声をかけた。

「あの。どうだろうって、どういう意味ですか?」

 シロ先輩はコーヒーを一口飲み、静かにカップを置いた。

「お前には悪いんだけどさ」

 そう言って、申し訳なさそうに頭を掻く。

「そのシロヤギっての、よくわからなくて」

 シロ先輩は苦笑いを浮かべていた。
 その表情は、とても冗談を言っているようには見えない。
 私はシロ先輩の言葉を頭の中で反芻する。理解しようとするが、なかなか上手くいかない。
 シロ先輩は、そんな私の状態を確認しつつ、言葉を選ぶように話し始めた。

「シロヤギの話を聞いた時、他人の思い出のはずなのに、妙にその光景が頭にありありと思い浮かんだ。俺はその話を知ってると思った。だけどお前に確認すると、前にも聞いたことのある話だって言われて。それで、ああ、そうか。だから知っていたのかって納得したんだ」

 私は黙ってシロ先輩の話を聞く。シロ先輩は、さらに続ける。