クロとシロと、時々ギン

 どうやって本題を切り出そうかと、あれほど緊張していたというのに言葉がするりと出てくる。

「本当は昨日、シロ先輩に聞きたかったんです。けど、会えなくて。でも私、すぐにでも確認したくなってしまったんです。白谷先輩ならシロ先輩のことをよく知っているから、何か知っているかもと思って。だから、白谷先輩に昨日会って……」

 シロ先輩は穏やかな微笑みを浮かべていた。そして優しく尋ねる。

「俺に聞きたいこと? そんなに急ぎなら電話をくれれば良かったのに」

 言われてみればその通りだ。
 私は自分の考えなしの行動に呆れてしまう。
 どうしても真実が知りたくて、衝動的に動いてしまった。
 シロ先輩は、私の考えていることが伝わったようで、苦笑する。

「それで、俺に聞きたかったことって?」

 私は一度深呼吸をして気持ちを整えた。

「シロヤギさんのことなんですけど」
「シロヤギ?」

 シロ先輩は首を傾げた。

「ああ、クロの交換日記の相手か」

 思い出したようにそう言ったシロ先輩に、私は恐る恐る尋ねた。

「シロヤギさんの正体って、シロ先輩ですよね?」

 シロ先輩は驚いたように目を丸くした。
 私は息を呑んで答えを待つ。心臓の鼓動がうるさいほどに鳴っている。
 シロ先輩はしばらく何も言わなかった。眉間にシワを寄せ、難しい顔をしている。
 やはり違ったのだろうか。

 シロ先輩が何か言おうと口を開きかけた。
 しかし、ちょうどそのタイミングで注文した料理が運ばれてきたため、私たちは一旦会話を中断した。
 シロ先輩の前に大盛りのオムライスが置かれる。シロ先輩はスプーンを手に取り、皿に視線を落とした。
 私の前にはドリアとサラダのセットが置かれたが、食べ始める気にはなれない。
 シロ先輩が何か言うのをただじっと待つ。

 シロ先輩は私の方を見ようとしない。何を思っているのか分からない。
 焦りのような感情が胸の奥から湧き上がってくる。
 やがて、シロ先輩が静かに口を開いた。