不思議そうな表情でこちらを見るシロ先輩に、私は言う。
「あそこに行ってみませんか? シロ先輩が言った通り、あの場所には以前大きな桜の木が立っていたんですよ。実は思い出の場所で」
そう言った私を、シロ先輩はまじまじと見つめ、そしてフッと笑った。
「……俺もだ」
「え?」
小さく呟かれた言葉を聞き取れず首を傾げると、シロ先輩は「なんでもない」と言うように首を振った。そしてベンチから立ち上がり、そのまま前を向いてスタスタと歩き出す。
ぽっかりと空いた空間に、大きな切り株だけが残されている。
シロ先輩は何も言わず、ただじっと切り株を見つめていた。その横顔からは、何を思っているのか読み取れない。
私も同じように、ただ目の前のそれを見つめる。
大きな幹に背を預けて、シロヤギさんからの手紙を読んでいたあの頃が脳裏に蘇る。
少し離れた場所に立つ小さな石灯籠のところまで行き、こんなに小さかっただろうかと思いながら屈んで、覗き込む。
すると、あの時のように灯籠の中には小さく折り畳まれた紙片が入っていた。
誰かが、あの頃の私と同じようにこの場所で秘密のやり取りをしているのだろうか。紙の隙間から見える拙い文字に、私は小さく笑った。
「どうした?」
背後から声がして、私はビクッとして振り返る。
いつの間にかシロ先輩が立っていた。
「いえ、何でもないです」
秘密のやり取りは、秘密のままにしておくべきだろう。
私は慌てて腰を伸ばす。
シロ先輩は私が見ていた方向をチラリと見たが、すぐに視線を外し、こちらへ向き直った。
「思い出には浸れたか?」
コクリと頷くと、シロ先輩は満足そうに微笑んだ。
私たちは静かに境内を後にした。
「で、これからどうするんだ?」
通りへ出ると、シロ先輩が何気ない口調で尋ねてきた。
「あそこに行ってみませんか? シロ先輩が言った通り、あの場所には以前大きな桜の木が立っていたんですよ。実は思い出の場所で」
そう言った私を、シロ先輩はまじまじと見つめ、そしてフッと笑った。
「……俺もだ」
「え?」
小さく呟かれた言葉を聞き取れず首を傾げると、シロ先輩は「なんでもない」と言うように首を振った。そしてベンチから立ち上がり、そのまま前を向いてスタスタと歩き出す。
ぽっかりと空いた空間に、大きな切り株だけが残されている。
シロ先輩は何も言わず、ただじっと切り株を見つめていた。その横顔からは、何を思っているのか読み取れない。
私も同じように、ただ目の前のそれを見つめる。
大きな幹に背を預けて、シロヤギさんからの手紙を読んでいたあの頃が脳裏に蘇る。
少し離れた場所に立つ小さな石灯籠のところまで行き、こんなに小さかっただろうかと思いながら屈んで、覗き込む。
すると、あの時のように灯籠の中には小さく折り畳まれた紙片が入っていた。
誰かが、あの頃の私と同じようにこの場所で秘密のやり取りをしているのだろうか。紙の隙間から見える拙い文字に、私は小さく笑った。
「どうした?」
背後から声がして、私はビクッとして振り返る。
いつの間にかシロ先輩が立っていた。
「いえ、何でもないです」
秘密のやり取りは、秘密のままにしておくべきだろう。
私は慌てて腰を伸ばす。
シロ先輩は私が見ていた方向をチラリと見たが、すぐに視線を外し、こちらへ向き直った。
「思い出には浸れたか?」
コクリと頷くと、シロ先輩は満足そうに微笑んだ。
私たちは静かに境内を後にした。
「で、これからどうするんだ?」
通りへ出ると、シロ先輩が何気ない口調で尋ねてきた。
