だいぶ酔いが回った頃。不意に白谷吟が思い出したように口を開いた。
「そういえば、矢城さん。あれから“思い出の君”には会えたの?」
白谷吟の問いかけに、私は一瞬言葉を失う。
萌乃が興味津々といった表情で身を乗り出す。
「え? もしかして、明日花さんの恋バナですか!?」
萌乃は目を輝かせて私を見る。その視線に耐えられず、思わず顔を背けた。
外した視線の先では、シロ先輩が珍しく動揺しているように見えた。
その隣で白谷吟は、相変わらずニコニコと微笑んでいる。
白谷吟のマイペースさに内心毒づく。
(全くこの人は……)
面倒くさい話になるのはごめんだ。私は必死にこの話題を回避する方法を考える。
だが、アルコールで鈍った脳はなかなか良い回答を出してくれない。
諦めて口を開く。
「別に、そういうことじゃないの。小さい頃の思い出を白谷先輩が意味ありげに言っただけ。特に深い意味はないから」
早口でまくし立てるように言い切り、ふうっと息を吐く。
(これで納得してくれるかな?)
そう思いながら萌乃の様子を見るが、萌乃は不思議そうな表情をしている。
「それって、つまり、明日花さんの初恋の話ってことですよね?」
女の子らしく恋バナ好きの萌乃は、完全に誤解している。
こうなったら否定しても無駄だろう。それでも私は往生際悪く抵抗する。
「初恋とかじゃないのよ。ただ、小学生の頃に、いっとき文通みたいなことをしていただけなの」
萌乃は、ますます興奮した様子を見せる。夢見る乙女のように瞳をキラキラさせていた。
萌乃のこういうところは理解できない。
私は苦笑いを浮かべる。そんな引き気味の私とは対照的に、萌乃は何とも楽しそうだ。
「文通? メールとかじゃなくて? 珍しいですね。なんか昔の少女漫画みたい! 相手の子が転校しちゃって……とかですか?」
ぐいぐい迫ってくる萌乃。
私はその勢いに押され、思わず体を仰け反らせながら小さく首を振る。「違う」という意思表示だ。
すると、今まで黙っていたシロ先輩が口を開いた。
「そういえば、矢城さん。あれから“思い出の君”には会えたの?」
白谷吟の問いかけに、私は一瞬言葉を失う。
萌乃が興味津々といった表情で身を乗り出す。
「え? もしかして、明日花さんの恋バナですか!?」
萌乃は目を輝かせて私を見る。その視線に耐えられず、思わず顔を背けた。
外した視線の先では、シロ先輩が珍しく動揺しているように見えた。
その隣で白谷吟は、相変わらずニコニコと微笑んでいる。
白谷吟のマイペースさに内心毒づく。
(全くこの人は……)
面倒くさい話になるのはごめんだ。私は必死にこの話題を回避する方法を考える。
だが、アルコールで鈍った脳はなかなか良い回答を出してくれない。
諦めて口を開く。
「別に、そういうことじゃないの。小さい頃の思い出を白谷先輩が意味ありげに言っただけ。特に深い意味はないから」
早口でまくし立てるように言い切り、ふうっと息を吐く。
(これで納得してくれるかな?)
そう思いながら萌乃の様子を見るが、萌乃は不思議そうな表情をしている。
「それって、つまり、明日花さんの初恋の話ってことですよね?」
女の子らしく恋バナ好きの萌乃は、完全に誤解している。
こうなったら否定しても無駄だろう。それでも私は往生際悪く抵抗する。
「初恋とかじゃないのよ。ただ、小学生の頃に、いっとき文通みたいなことをしていただけなの」
萌乃は、ますます興奮した様子を見せる。夢見る乙女のように瞳をキラキラさせていた。
萌乃のこういうところは理解できない。
私は苦笑いを浮かべる。そんな引き気味の私とは対照的に、萌乃は何とも楽しそうだ。
「文通? メールとかじゃなくて? 珍しいですね。なんか昔の少女漫画みたい! 相手の子が転校しちゃって……とかですか?」
ぐいぐい迫ってくる萌乃。
私はその勢いに押され、思わず体を仰け反らせながら小さく首を振る。「違う」という意思表示だ。
すると、今まで黙っていたシロ先輩が口を開いた。
